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もめ事を避けるため、効力のある遺言書を遺すには? 書き方や注意点を徹底解説!

2018年12月11日
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もめ事を避けるため、効力のある遺言書を遺すには? 書き方や注意点を徹底解説!

横浜市は現在、さまざまな再開発事業が進行しています。商業地域はもちろん、住宅地が中心の横浜市西部・神奈川県東部地域も、相鉄・JR直通線(西谷駅~羽沢駅)が2019年度下期に、相鉄・東急直通線(羽沢駅~日吉駅)が2022年に開通予定となっており、都心へのアクセス向上で、地価も上昇する可能性があります。

関係地域に資産をお持ちであれば、再開発による資産価値上昇はうれしいことです。反面、親から遺産を相続することになったとき、または自分が亡くなったとき、誰がどの家を、どの土地を相続するかでトラブルとなる懸念があるかもしれません。

世の中では、遺言がないために、相続を巡り親族間で争いの起こることが少なくありません。不要な遺産相続争いを避け、相続人の負担を減らすためには「遺言書」の作成が非常に有効です。効果的な「遺言書」の作成について、様式やそれぞれの利点、作成上の注意点を理解しておきましょう。

最新の情報を含め、横浜オフィスの弁護士が解説いたします。

1、遺言とは

はじめに、遺産相続の関係者を指す用語と、遺言の意義を確認しておきましょう。

「被相続人(ひそうぞくにん)」とは、相続可能な財産を遺して亡くなった方を指します。そして「相続人(そうぞくにん)」は、被相続人が遺した財産を受け取る権利を持つ者です。相続人に該当する者は、民法によって定められています。

万が一あなたが亡くなった場合、遺言書がなくても、民法に規定された「法定相続」に従って、相続人に遺産を相続させることは可能です。

しかし、現金・預貯金、株式、家・土地など全ての遺産につき、誰がどう取得するのかを、遺された相続人が「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」を行い、ゼロから話し合わねばなりません。財産の多寡を問わず、この協議は争いの元となりえますし、相続人にとって大変負担の大きい作業といえるでしょう。

被相続人が、法的に有効な「遺言書」を作成しておけば、「法定相続」より優先して適用されます。自分の財産を、自分の意思で、誰に、何を、どのような割合・方法で相続させるのかをあらかじめ決めておくことができるのです。

遺言書の作成は、親族間の争いを避け、スムーズな相続手続きを行うための、ご家族への最大限の配慮といえるでしょう。

ただし、遺言が効力を発生する時点で、書いた本人である被相続人は当然亡くなっているため、遺言に曖昧な記述や不明確な部分があったとしても、真意を確かめることができません。そこで、遺言の解釈で無用な混乱が生じるのを避けるために、遺言書の方式や効力などを民法第960条から第1027条において、詳細に定めています。

なお、近年の相続に関する諸問題に対応するため、平成30年7月6日、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)及び法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法・平成30年法律第73号)が成立しました(同年7月13日公布)。この中で、遺言書の作成に関する規定変更なども行われています。相続が発生した日、および遺言書が書かれた日によって、適用される法律の内容が変わる可能性がある点にも注意が必要です。

2、遺言書の種類と特徴

まずは「遺言書」の種類を解説します。遺言書は、遺す状況や作成方法によって、3種類の普通方式と4種類の特別方式に分けられます。

  1. (1)自筆証書遺言

    一般的に行われることが多いのが自筆証書遺言(民法第968条)です。自筆証書遺言とは、遺言者本人が、内容と、日付および氏名を自筆し、押印することで成立します。
    あくまでも自筆で行われることが必要であるため、パソコンなどで入力し印刷したものでは認められません。

    自筆証書遺言は思い立ったときに、紙とペンと印鑑さえあれば作成できますが、相続を開始するときに、遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人が、家庭裁判所に対し、正しい遺言の方式で記載されているか確認を求める「検認」の手続きを請求しなければなりません(民法第1004条第1項)。検認を経ずに勝手に開封した場合、「過料(かりょう)」と呼ばれる罰金に処されることになります。

    自筆証書遺言は、もっとも手軽ではありますが、形式や手順のミスにより無効となる可能性が多々あります。作成や保管については、相続の対応経験が豊富な弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

    なお、前述の平成30年7月6日の民法改正により、パソコンなどで作成し印字した財産一覧や、銀行通帳のコピー、不動産の登記事項証明書等を財産目録として添付することが認められることになりました(改正法968条2項・平成31年1月13日施行)。ただし偽造や改ざんを防ぐため、各ページに自署捺印が必要です。

    また、今まで自筆証書遺言は作成者の責任で保管するため、紛失のおそれがあったのですが、今回の法改正により、法務局での自筆証書遺言の保管が可能となります。法務局で遺言書の保管をする場合、検認は不要です(「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」)。

    ただし、本法律の施行日は平成30年7月13日より2年以内となっており、まだ施行日は決定していません。施行前は法務局に保管することはできませんので、注意が必要ですが、改正法の施行後は、自筆証書遺言はさらに身近な遺言書方式になるだろうと考えられます。

  2. (2)公正証書遺言

    公正証書遺言(民法第969条)は、公証人および証人が内容の証明をする遺言書です。作成時には2名以上の証人の立ち会いが必要です。自筆証書遺言と比べてやや手間と費用がかかりますが、専門家である公証人が作成するため、形式不備による無効の心配がありません。

    また、原本は公証役場で保管されるため、改ざんのおそれもありません。公証手続きを経ているため、相続開始後の検認手続きも不要です(民法第1004号第2項)。

    公正証書遺言の場合、仮に遺言者が署名することができない場合には、公証人がその旨を記載すれば、署名に代えることが可能であるため、身体に不自由がある場合にはこの方法で遺言書の作成が可能になります。

    ただし、被相続人も、誰にどのような財産を相続させるかといった遺言の内容自体は自身で考えたうえで、公証人と打ち合わせをする、関係書類をそろえるといった準備が必要になりますので、公正証書遺言の作成についても、弁護士などの専門家に相談や依頼をしたほうがよいといえるでしょう。

  3. (3)秘密証書遺言

    秘密証書遺言(民法第970条)とは、公証人および2名以上の証人が、遺言の存在と、それが本人の書いたものであるという事実のみ証明します。よって、内容自体は秘密にしておくことができます。

    しかし、遺言書作成時に内容の確認ができないため、開封時は家庭裁判所の検認が必要です。自筆証書遺言と同様に、検認を経ずに勝手に開封した場合、「過料」が科されることになります。検認の際に形式上の誤りが発覚し、無効になってしまうことも少なくないようです。

    せっかくの遺言が無効になっては、自分の意思に沿わない相続になってしまう可能性が高まります。やはり、この場合も、経験のある弁護士などの専門家へ、事前に相談したほうがよいでしょう。内容を秘密にしておきたいお気持ちが強く不安に感じられるかもしれませんが、弁護士であれば守秘義務があり、相談の内容を漏らすことはありません。

  4. (4)特別方式遺言書

    特別方式遺言書(民法976条など)は、死期が迫っているような状態であるときに迅速かつ簡易な方法により遺言書を作成することが認められる特別な方式です。特別方式の遺言には、「一般危急時遺言」「難船危急時遺言」「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」の4種類があります。

    これらはそれぞれ危篤のとき、遭難したとき、伝染病で隔離されているとき、船上にいるときの例外的な場合に認められる遺言です。遺言者が普通方式の遺言書ができるようになってから6ヶ月生存した場合は、効力を失います。

3、遺言書において指定できる事項

遺言書は、「どのような内容でも書き遺せば法的な効力を持つ」というわけではありません。

遺言によって法的な効力を持たせることができる事項は、大まかに分類すると「財産に関すること」「手続きに関すること」「身分に関すること」の3種です。法律で定められたこれらの「遺言事項」以外は、遺言書に記載しても法的な効果は認められず無効と扱われます。

遺言事項以外のことに関しては「付言事項」として書き残すことが可能です。法的な効力はありませんが、なぜそのように相続するよう指定をしたのかなどを付記することによって、より円満な相続となる可能性があるでしょう。

  1. (1)財産に関すること

    財産に関して、具体的に、誰に、どのくらい、どのような分け方で相続させるかを指定することができます。また、死後5年間を限度として遺産分割を禁じたり、財産の担保責任の範囲を定めたりすることもできます。

  2. (2)手続きに関すること

    相続の手続きを行う「遺言執行者の指定・委託」と、「祭祀(さいし)承継者の指定」ができます。

    「遺言執行者」とは、土地の登記名義や銀行口座の名義変更といった、相続に必要不可欠となる事務手続きを行う者です。遺言執行者は、家族だけでなく、弁護士や行政書士など第三者を指定することもできます。ただし、未成年の子どもや破産者などは指定できません。「祭祀(さいし)承継者」は、神棚や仏壇、お墓などを管理する方のことです。

  3. (3)身分に関すること

    「認知」、「未成年後見人・未成年後見監督人の指定」など、遺された家族の身分に関することを指定することができます。

    被相続人に、生前は認知できなかった子どもがいて、その子どもにも相続させたいときなどは、遺言によって「認知」するよう指定できます。認知された子どもは法定相続人となり、財産を相続する資格を得ることができます。

    また、被相続人が亡くなることによって親権者がいなくなる子どもがいる場合には、未成年後見人の指定もしておくことができます。

4、遺言書が無効にならないための注意点

ここまで、遺言書の種類と、そこで書き示すことのできる内容について解説してまいりました。しかし、せっかく手間暇をかけて作成した遺言書が、残念ながら法的には無効だったというケースは少なくありません。

無効となる遺言書を作成しないためには、登記情報など自らの財産内容を改めて洗い出して正確に書き写すなどのほかに、遺言を書く人つまり被相続人の状態に関する、3つのポイントがあります。

これから遺言書を作成する際は、留意が必要です。

  1. (1)遺言書を有効に作成できる能力・状態にあるか

    遺言の作成には、被相続人自身の意思能力(事理弁識能力)が必要です。たとえば、認知症の状態で書いたとする遺言書は無効とみなされる可能性が高まります。

    なお、成年後見人が就任している成年被相続人については、一時的に自身の意思能力や判断力が回復したときに、2名以上の医師の立ち合いなどによって作成した遺言書の効力が認められます(民法第973条)。

    また、被相続人は、満15歳以上である必要があります。幼過ぎると自分の財産の処分を適切に判断できないとみなされ、遺言は無効となります(民法第961条)。

  2. (2)法で定められた作成手順が守られているか

    遺言書に法的な効力を持たせるためには、法で定められた作成手順でなければ無効となります。

    具体的には、以下のような不備で法的な効力が無効となるケースがあります。

    • 自筆証書遺言が本人の手書きでない
    • 日付が「○年○月吉日」などになっており、特定できない
    • 押印の印影が、封緘(ふうかん)と本文で違う
    • 公正証書遺言、秘密証書遺言の証人の身分が不適格だった(民法974条)
    • 記載されている財産額と現実の財産額がかけ離れている

    なお、公正証書遺言や秘密証書遺言で求められる「証人」には、民法によってその範囲が定められています。具体的には、「未成年者」「推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族」「公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人」は証人または立会人になることができません。もし、証人を依頼できる人物がいなければ、公証役場や弁護士に依頼することが可能です。

    書式、手続きについては、相続問題に対応した経験が豊富な弁護士や税理士に、確認したほうが安心かもしれません。

  3. (3)遺言書の作成に本人以外が関わっていないか

    まず、詐欺・強迫によって記された遺言書は当然ながら無効となります。本人の意思が適切に反映されたものではないためです。

    また、民法第975条では、「2人以上が同一の書面で遺言を作成することはできない」と定められており、たとえば、夫婦連名による「共同遺言」は、法的には無効になります。遺言書は、他者からの影響を受けずに意思を示したものである必要があります。遺言書はあくまでも被相続人1名だけの内容で作成するようにしてください。

    また、他人の代筆による「自筆証書遺言」も、本人以外が関わっているという理由で無効になります。

5、まとめ

人は、誰しもいずれ死を迎えます。ただでさえ、家族との死別という精神的ショックの大きい時期に、遺産相続による係争が発生することは、遺族にとって大きな負担となることは間違いありません。

不備のない、丁寧な遺言を遺すことは、よい人生の幕引きのための準備であり、家族に贈ることができる最後のプレゼントといえるかもしれません。あなたにとっても、ご家族や親族にとっても非常にメリットの大きいことですので、財産の多寡にかかわらず、一度検討する価値のある手続きではないでしょうか。

一方で、専門的な知識やサポートが必要な作業でもあります。特に現在は、法改正と施行のはざまの期間であり、常に最新の状況をキャッチアップしている弁護士のアドバイスがあったほうが、確実に遺言書を作成できるでしょう。

遺言を作成するにあたっては、第1に財産の洗い出しが必要となります。ベリーベスト法律事務所は、グループ会社内に、税理士や行政書士などさまざまな手続きを扱えるプロフェッショナルが多数在籍しております。遺言書の作成から、生前分与、相続税対策など、相続に関して多角的な提案を、ワンストップでご提供いたします。

遺言書は新しいものを作成し、古いものを破棄することで、書き直していくことができます。弁護士と定期的にコンタクトをとって、財産状況の更新や遺言の内容をブラッシュアップしていくのも1案です。ご不明な点や、相談してみたいなどご要望があれば、ぜひベリーベスト法律事務所 横浜オフィスへご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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