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【前編】器物破損で逮捕されてしまうのはどんなとき? 早期解決のためにできることとは?

2019年02月15日
  • 財産事件
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  • 横浜
  • 弁護士
【前編】器物破損で逮捕されてしまうのはどんなとき? 早期解決のためにできることとは?

2018年1月、横浜地裁庁舎内のドアを蹴って壊したとして、器物損壊の疑いで男が逮捕される事件がありました。

器物損壊罪が成立すれば、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料を科せられます。ただし、過失で物を壊してしまった、つまり故意ではなかった場合、基本的に器物損壊罪は成立しません。さらに、心神喪失者は罰しないなどの例外もあるため、物を壊したからといって一概に器物損壊罪が成立するとはいえません。

ここでは、器物損壊罪の構成要件、器物を破損したが器物損壊罪に問われないケース、器物を破損してしまった場合の解決法などについて横浜オフィスの弁護士が解説します。

1、器物損壊罪とは

器物損壊罪は、刑法261条によって「他人の物を損壊し、又は傷害した者」を対象とした犯罪です。器物損壊罪で有罪となったときの法定刑は「3年以下の懲役」または「30万円以下の罰金」もしくは「科料(かりょう)」に処するとされています。なお、「科料」とは1000円以上1万円未満の罰金刑を指します。

  1. (1)器物を「損壊」するとは

    器物損壊罪は、自分に所有権がない財産的価値のある物を「損壊」した場合に成立しますが、単に壊したり傷つけたりした場合だけが対象となるわけではありません。

    条文で示す「損壊」とは「物の本来の効用を失わせる行為」を指すと解釈されています。つまり、実際にそのものを破壊することだけでなく、該当物の用途を妨げるような行為をすることも、器物損壊罪に問われる可能性があるということです。

    たとえば、壁や車両などに、度を超えた落書きやビラを張るような行為も「損壊」に該当することがあります。壊していないから大丈夫、と思っていたとしても、器物破損罪として検挙される可能性があります。

    また、条文で示す「傷害」は、他人が所有する動物を傷つける行為を指します。「損壊」同様、具体的に怪我をさせることだけが該当するわけではなく、勝手にペットを逃がしてしまうなどの行為も傷害にみなされます。

  2. (2)器物損壊罪以外の罰則が適用される対象物

    また、破損した対象によっては、より重い刑罰が科されることがあります

    器物損壊罪でいう「他人の所有物」には、公用文書、私用文書、建造物および船舶は含まれません。別途、以下の刑法により処罰規定が存在するためです。

    • 公用文書等毀棄罪(刑法258条):3ヶ月以上7年以下の懲役
    • 私用文書等毀棄罪(刑法259条):5年以下の懲役
    • 建造物等損壊罪(刑法260条):5年以下の懲役


    「他人の所有動物」を傷つける行為も器物損壊罪に該当しますが、愛護動物(牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの)をみだりに殺しまたは傷つけた場合は、「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)」が適用されるでしょう。

    • 動物愛護法違反:2年以下の懲役または200万円以下の罰金


    なお、両生類等上記以外の脊椎動物や無脊椎動物の殺傷には、動物愛護法は適用されず、器物損壊罪が適用されます。

2、壊したけれど、器物損壊罪には問われないケース

状況によっては、他人の所有物を破損したが、器物損壊罪に問われないケースもあります。しかし、いずれのケースも、発生した被害に対しては当然、民事上の損害賠償責任は発生します。責任を負わなくてもよいということではありません。

  1. (1)故意ではなかった

    刑法は「故意がある行為を処罰するための法律」であるため、故意でない場合は刑法によって逮捕はされません。転倒し、物を壊してしまったなどの場合は刑法で裁かれる対象になりません。

  2. (2)加害者が14歳未満だった

    わざと器物を損壊したとしても、「14歳に満たない者の行為は、罰しない」と刑法41条に定義されているため、14歳未満であれば刑法によって裁かれることはありません。ただし、15歳以上の人が指示して14歳以下の人に器物を損壊、損傷させた場合は、指示した15歳以上の人に対して器物損壊罪が成立する可能性があります。

    もちろん、14歳未満なら故意に他人の器物を壊しても無罪放免となるわけではありません。14歳未満の少年が刑法犯罪をおかした場合、必要に応じて逮捕、もしくは保護されて取り調べを受けることになります。その後「触法少年」として、家庭裁判所の審判を受け、更生を図ることとなります。

  3. (3)ペットが壊した

    刑法は人の行為を罰するためにあるので、ペットによる器物損壊を直接罰することはできません。しかし、ペット管理者への民事上の損害賠償責任は発生する可能性があります。

  4. (4)心神喪失状態だった

    「心神喪失」とは、精神疾患や薬物中毒などで行為の善悪判断がつかなくなっている状態、またその判断にしたがって行動する能力がない状態を指します。

    刑法第39条において「心神喪失者の行為は、いかなるものであっても罰しない」と定義しています。この定義は、近代刑法の原則のひとつである「責任なければ刑罰なし」という責任主義のもと成立している考え方です。

    なお、「酒によって記憶がない」といういわゆる「酩酊状態」は、過去の判例から心神喪失状態とはいえないと考えることが一般的です。

  5. (5)被害者が告訴しなかった

    器物損壊罪は親告罪のため、被害者が被害届を出し、さらに処罰をのぞむ「告訴」をして初めて立件されます。つまり、被害者が告訴しなければ、器物破損罪では逮捕されない、刑事罰として罪を裁かれることはないと考えてよいでしょう。

    ただし、前述のとおり、刑事事件として裁かれなかったとしても、民事上の損害賠償責任は発生します。言い換えれば、刑事罰を受けたとしても被害者の損害賠償を行う必要はあるということです。

    そのため、告訴前に加害者と被害者で示談交渉を行い、成立させたほうがよいといえます。示談については、次の項目でくわしく解説します。>後編はこちら

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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