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体当たり(ぶつかり男)をしたら逮捕? 刑罰・前科の可能性はあるか

2020年12月14日
  • 暴力事件
  • 体当たり男
体当たり(ぶつかり男)をしたら逮捕? 刑罰・前科の可能性はあるか

東京メトロの駅構内で女性に体当たりをして全治3週間のケガを負わせたとして、会社員の男が傷害容疑で逮捕されるという事件がありました(2019年9月)。また横浜市内でも、歩道で知人の女性に体当たりして転倒させた公務員の男性が、暴行容疑で逮捕されています(2019年6月)。

事情があったとしても、いきなり体当たりをしてケガを負わせるのは悪質な行為です。もし、このようなことをしてしまった場合、刑事事件として成立する可能性はあるのでしょうか。逮捕されたらその後の刑事手続きがどのように進むのか、仕事への影響は出るのか、前科はつくのかなど、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が、事件と逮捕の流れについて解説します。

1、体当たりする行為に成立する可能性のある犯罪

  1. (1)暴行罪

    人に暴行を加えると暴行罪(刑法208条)が成立しますが、体当たりは暴行に当たるのでしょうか。

    暴行罪とは刑法において、下記の通り規定されています。

    刑法208条(暴行)
    暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する。


    暴行罪における暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使であると定義されています。有形力の行使というのは、日常生活ではあまり出てこない言葉ですが、殴る蹴るなどのいわゆる暴力だけでなく、人の身体に害をなす、さまざまな攻撃方法が含まれています。

    過去の裁判例でも、暴行概念は広範囲に解釈されており、食塩を振り掛ける行為(福岡高裁 昭和46年10月11日)、被害者の近くで大太鼓などの楽器を強く連打する行為(最高裁 昭和29年8月20日)も暴行に当たると裁判所は判示しています。したがって、体当たりが暴行に当たることは明白とえるでしょう。

    暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

    ●懲役とは(刑法12条)
    刑事施設(刑務所や拘置場)で労役に服させる刑罰です。
    ●拘留とは(刑法16条)
    1日以上30日未満の刑期で刑事施設に拘置されるという刑罰です。懲役や禁錮(刑法13条)よりも刑期が短く、懲役のように刑務作業を行うことはありません。
    ●科料とは(刑法17条)
    1000円以上1万円未満の金銭を国に支払う財産刑で、1万円以上の金銭を支払う罰金(刑法15条)と区別されています。

  2. (2)傷害罪

    暴行罪は、被害者がケガをしなかった場合に成立する犯罪です。一方で、被害者に傷害の結果が発生した場合には、傷害罪が成立します。

    刑法204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する。


    傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能に障害を与えることをいい、傷を負わせて出血させることや、アザを作ることなど、幅広くとらえられています。傷害罪には拘留や科料はなく、懲役または罰金のみです。

    それでは、ケガをさせるつもりはなかったのに、被害者に傷害を負わせてしまった場合、傷害罪が成立するのでしょうか。刑法には法律に特別の規定がなければ、罪を犯す意思(故意)のない行為は罰しないという原則があるため(刑法38条1項)、傷害の故意がなければ暴行罪が成立するに留まると考えることもあり得そうです。

    しかしながら、傷害罪は、傷害の故意犯のみではなく、暴行の結果的加重犯も含むという解釈が一般的な見解です。したがって、ケガをさせるつもりがなかったもののケガをさせてしまった場合においても、傷害罪が成立することになります。結果的加重犯とは、基本となる犯罪が実現された後に、さらに一定の結果が発生した場合に、加重処罰するというものです。

    この解釈の理由は、刑法208条が「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは」と規定していることから、傷害の結果が発生したときには(行為者の意図に関係なく)暴行罪の208条ではなく傷害罪の204条を適用すべきだと考えられているからです。また、刑法204条が刑法38条1項ただし書にいう「特別の規定」に当たるとされています。

    なお、暴行の結果、傷害を超えて被害者が死亡した場合には、傷害致死罪(刑法205条)が成立します。

    刑法205条(傷害致死)
    身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。


    たとえば、駅のホームで体当たりしたところ、被害者が線路に落下し、列車にひかれるというケースが考えられます。

    傷害致死罪には罰金刑はなく、3年以上(20年以下)の懲役刑のみが定められています。なお、傷害致死罪は傷害罪の結果的加重犯ですが、暴行罪からの二重の結果的加重犯も含むと解されています。すなわち、傷害の故意も殺人の故意もなく暴行をしたところ、結果的に被害者が死亡してしまった場合にも傷害致死罪が成立します。

  3. (3)強制わいせつ罪・迷惑防止条例

    もしも、偶然を装って性的な目的で体当たりしたり、胸や性器、尻などに触れたりした場合には、強制わいせつ罪(刑法176条)や、各都道府県の迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。

    刑法176条(強制わいせつ)
    十三歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。


    強制わいせつにおける「暴行」は、暴行罪における「暴行」よりは厳密に解釈されており、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があるとされています。ただし、暴行自体がわいせつ行為といえる場合、たとえば、偶然を装って女性の胸にぶつかるといった場合にも、一般的には強制わいせつ罪の暴行に当たるケースが多いでしょう。

    強制わいせつの法定刑は6か月以上10年以下の懲役です。また、いわゆる痴漢行為は、各都道府県の迷惑防止条例に抵触する場合もあります。ここでは、神奈川県の迷惑行為防止条例を例に挙げて説明しますが、どの都道府県の条例にもわいせつ行為を禁止する条文があります。

    神奈川県迷惑行為防止条例 第3条(卑わい行為の禁止)
    1 何人も、公共の場所にいる人または公共の乗り物に乗っている人に対し、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
    (1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、または直接に人の身体に触れること。

    神奈川県迷惑行為防止条例 第15条(罰則)
    1 第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。


    このように、痴漢行為は迷惑行為防止条例によっても禁止されており、罰則として1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています。

2、逮捕されたらどうなるのか

  1. (1)逮捕後の流れ

    逮捕されると、警察署で取り調べが行われ、逮捕から48時間以内に検察に送致するか釈放するかが決定されます。警察官が必要ないと判断すれば、送致はされません。送致されないケースとしては、被害者に対して謝罪し、被害者がそれを受け入れているケースや、微罪のケースなどがあります。

    検察官は、送検から24時間以内に勾留の必要があるかどうかを判断し、必要な場合は裁判所に勾留請求を行います。なお、逮捕されても、逃亡や証拠隠滅のおそれがなく、今後の出頭要請にきちんと応じるだろうと判断されると、釈放され、在宅事件となる可能性があります。

    勾留は、原則として勾留請求の日から10日間ですが、最大10日間の勾留延長も認められています。この勾留期間中に、検察官は起訴か不起訴かを決定します。起訴されると、刑事裁判にかけられることとなります。

  2. (2)前科はつくのか

    刑事裁判において起訴されると、9割以上が有罪になるというデータが出ています(犯罪白書 令和元年版)。したがって、前科がつかないようにするためには、不起訴処分を目指すことが重要です。前科がつくと、今の仕事を解雇される可能性があるほか、履歴書の賞罰の欄に記入しなければならないため新たな職につくことが難しくなるなど、社会生活で大きな不便を強いられます。不起訴のためには迅速な弁護活動が大切になります。刑事事件の実績が豊富な弁護士を選び、早期に相談することをおすすめします。

3、すぐに弁護士に依頼すべき理由

もし体当たりなどの暴行をし、逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に依頼することが重要です。逮捕から勾留までの最大72時間は、家族であっても面会はできません。家族が面会可能になるのは、勾留開始後です。唯一、面会が許されているのは弁護士です。警察からの取り調べや送検という非常に重要な時期に、どのように対応するのかといったアドバイスできるのは、弁護士だけなのです。

逮捕から送検され勾留になると、一定の期間、捜査機関(警察・検察)に身柄を拘束されるため、実生活に影響が出てくる可能性が高いでしょう。拘束を受けている期間中は当然、スマートフォンなどで家族や勤務先に連絡することはできません。弁護士であれば、本人の代わりに連絡を行います。

また、逮捕された事実を職場に知られたくない場合もあるでしょう。職場に警察や検察が不用意に連絡しないことを求めるのも、弁護士の仕事のひとつです。

さらに、被害者との示談が成立していれば、不起訴処分となる可能性があります。示談が成立していれば必ず不起訴となるわけではありませんが、検察官は示談の成否を判断材料にしています。ただし、警察や検察から、被害者の氏名や住所等を聞き出すことは困難でしょう。弁護士であれば、必要な情報を集め、適切なタイミングで謝罪と示談交渉を行うことができます。

4、まとめ

体当たりによって成立する可能性がある犯罪は、暴行罪だけではありません。相手の状況によっては傷害罪、傷害致死罪と、重い罪が問われることも想定されます。もし体当たりによって逮捕される可能性がある、もしくはすでに逮捕されたという方やご家族は早急に弁護士にご相談ください。ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が、取り調べに対する適切なアドバイスや示談交渉、警察や検察への働きかけなど、早期解決に向けて全力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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