息子が大麻事件で逮捕! 前科はつく? 初犯の場合の量刑や逮捕後の流れを横浜の弁護士が解説
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「息子が大麻事件で逮捕された」という一報を聞いた時、それを信じられますか?「まさか」「そんなことあるわけない」と思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが大麻で逮捕された人数は、平成29年には約3000人にものぼっています。特に10代、20代の比率が高く、息子や娘が手を出してしまうこともあるかもしれません。(※)出典元:警察庁ウェブサイト
家族が逮捕されると「刑務所に入るのか」「学校や仕事はどうなるのか」「前科がつくのか」と、不安でいっぱいになるでしょう。特に初犯の場合、家族の戸惑いも大きいはずです。
では大麻事件で初犯の場合、逮捕後の手続きや量刑はどうなるのでしょうか?今回はそんな家族の疑問や不安に、弁護士がお答えします。
1、大麻事件で逮捕されるケースと逮捕のパターン
大麻は大麻草から作られる製品で、あぶって吸ったりすると酩酊したような感覚になったり、幻覚作用がでたりすることがあり、依存性もあります。「大麻取締法」という法律で規制されています。
近年、芸能人が大麻事件で逮捕されたというニュースを見かけることはよくあります。では具体的にどのようなことをすると逮捕されるのでしょうか。
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(1)大麻で逮捕される5つの行為
大麻取締法では以下の5つの行為を禁止しています。
- 栽培
- 輸入、輸出
- 所持
- 譲渡
- 譲受
このいずれかを行なった場合には、大麻取締法違反容疑で逮捕されます。なお栽培については、大麻研究者など都道府県知事の免許を受けた「大麻取扱者」にのみ許可されています。
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(2)使用は罪に問われない
気づいた方もいらっしゃると思いますが、5つのケースには「使用」が入っていません。
覚せい剤は使ったことで刑事罰の対象となりますが、実は大麻は使用しただけでは罪に問われないのです。
とはいえ、通常は使うために誰かから譲り受けたり、自ら栽培したりして大麻を手にいれ、所持するはずです。その行為は刑事罰の対象となります。 -
(3)大麻事件の量刑は?営利目的の場合はより重くなる
大麻事件の量刑は決して軽くありません。5つの行為の量刑は、次のようになっています。
- 栽培、輸出入:7年以下の懲役
- 所持、譲受、譲渡:5年以下の懲役
大麻の栽培や輸出入は、大麻を世の中に広める原因ともなります。そのため所持や譲渡に比べて重い量刑になっています。
またお金を稼ぐために大麻を栽培したり売ったりするなど、営利目的であった場合には、量刑はさらに重いものとなります。- 営利目的の栽培、輸出入:10年以下の懲役、または10年以下の懲役と300万円以下の罰金
- 営利目的の所持、譲受、譲渡:7年以下の懲役、または7年以下の懲役と200万円以下の罰金
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(4)逮捕のパターン
一般的に刑事事件での逮捕には「通常逮捕」と「現行犯逮捕」があります。
大麻事件には、特に所持による「現行犯逮捕」が多いという傾向があります。
職務質問をされた際にカバンから大麻が見つかったというケースもあれば、家宅捜査で大麻が発見されその場で逮捕というケースもあります。
2、大麻事件で逮捕された後の流れ
大麻事件で警察に逮捕された場合、その後はどうなってしまうのでしょうか?処分が決まるまでにどのくらいかかるのでしょうか?家族とは会えるのでしょうか?
逮捕後の手続きの流れと、期間についてご説明します。
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(1)逮捕後の流れ
警察に逮捕された後は、次のような流れで手続きが進みます。
- ①逮捕
- ②48時間以内に検察に送致
- ③検察が勾留請求
- ④10日間の勾留が決定
- ⑤検察が勾留延長の請求
- ⑥さらに10日間の勾留延長
- ⑦起訴または不起訴
- ⑧起訴された場合には裁判
- ⑨判決
裁判所が勾留を認めた場合、逮捕から起訴・不起訴の処分が決まるまで、最大で23日間身柄が拘束されることになります。その間は警察の留置場や拘置所で過ごします。
さらに起訴され保釈が認められなければ、判決まで身柄は拘束されたままです。大麻事件の場合、起訴から裁判までは一般的には1ヶ月程度ですが、内容や余罪によってはそれ以上かかることもあります。実刑となればそのまま刑務所に行くことになります。 -
(2)勾留は不可避?家族とは会える?
身柄を拘束して調べる「勾留」は、逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合に認められます。
薬物事件は共犯者がいたり、薬物を捨てたりする可能性があるため、勾留が認められるケースがほとんどです。
また家族や共犯者に証拠隠滅を頼むのを防ぐため、家族や知人との接見が禁止されることも多い傾向にあります。逮捕された人にとって勾留期間中は知った人に自由に会えず、苦しい時間になるでしょう。
3、初犯の刑罰は?前科はつく?刑務所にいくの?
実刑となれば刑務所に行くことになり、前科もつきます。学校や仕事、お金のことなど生活への影響も考えられるでしょう。
ですが初犯の場合、再犯に比べて罪が軽いと考えている方もいらっしゃるかと思います。実際にはどうなのでしょうか?
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(1)初犯は執行猶予がつくことも多い
大麻事件で初犯の場合、執行猶予付きの判決を受けることが多いと言えます。
たとえば所持の場合、懲役6ヶ月〜1年、執行猶予3年程度が相場とされています。
判決後は身柄も解放され、執行猶予期間中に罪を犯さなければ、そのまま刑務所に行かずにすみます。
ただし有罪判決は有罪判決です。つまり前科がつきます。
前科があると本人の精神的な負担になるのはもちろん、一定期間就けない仕事があるなど生活に制限がでてきます。
なお執行猶予を獲得するためには、しっかりとした裁判準備が必要です。事件を反省して「二度と罪は犯さない」という姿勢を示し、裁判官にそれを信じてもらわなければなりません。裁判については、弁護士に依頼することをおすすめいたします。 -
(2)初犯でも刑務所行きになるケースも
初犯だからといって、必ずしも裁判で有利というわけではありません。
長年にわたり大麻を販売してきたり、常習的に使用していたり、所持していた量が多かったりすると、執行猶予がつかずに実刑となる可能性があります。営利目的であれば、さらに量刑も重くなります。 -
(3)所持が微量の場合には不起訴も
刑事事件で逮捕されても、全員が起訴されるわけではありません。
大麻の場合、たとえば所持していた量がごく微量で罪を認めて反省している場合などは、不起訴(起訴猶予)処分となることがあります。
起訴されなければ裁判にはならず、有罪判決を受けることもないため、前科もつきません。
ただし不起訴となるのは簡単ではありません。弁護士に依頼し、不起訴となるために手を尽くしてもらいましょう。
4、家族ができること
家族が警察に逮捕されるということは、ほとんどの人にとって初めてのことでしょう。何をすればいいのかわからず途方に暮れてしまうかもしれませんが、可能なかぎり早めに行動することが大事です。
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(1)逮捕後にできること
逮捕を知った後に家族ができることは、まず弁護士に相談することです。
逮捕直後から相談することで、すぐに対策を始めることができます。所持していた量が微量であった場合などは、不起訴を目指して活動を行ってくれます。
また接見禁止となると家族は本人に会うことはできませんが、弁護士であれば自由に接見することができます。家族の様子やメッセージを伝えれば、本人も少しは安心できるかもしれません。
起訴されてしまった場合にも、執行猶予の獲得を目指して証拠を集めたり、本人に裁判に挑むためのアドバイスをしたり、具体的に行動してくれます。
初めての逮捕では、本人も家族もその後に起こることがわからず、不安になるでしょう。法律の専門家である弁護士に、逮捕後の流れや予想される判決などを教えてもらえば、不安の払拭にもつながるはずです。 -
(2)判決後にできること
不起訴となったり、執行猶予付きの有罪判決を受けたりした後、本人は家族の元に帰ってきます。学校や仕事に影響がなければ、元の生活に戻れるかもしれません。
ですが薬物犯罪の怖いところは、再犯率が高いというところです。
一度大麻を使った感覚を覚えてしまうと「もう一度だけ」と手を出し、再び依存してしまう人も多いのが実情です。
再び大麻に染まらないようにするためには、家族のサポートが欠かせません。精神的に支えてあげるのはもちろん、場合によっては依存から脱却するための治療や支援団体のサポートを使うことも考えてみましょう。
再犯となると、実刑判決は免れないでしょう。そうならないためには、本人の強い意志と家族の協力が必要です。
5、まとめ
大麻は比較的身近な薬物です。自分の知らないところで息子や娘など、家族の誰かが手を出しているかもしれません。
家族が薬物事件で逮捕されたことはショックでしょうし、周囲の目も気になるでしょう。ですが悩んでいるだけでは、事態は良くなりません。できるだけ早く弁護士に相談して不安を聞いてもらうとともに、具体的に対処してもらいましょう。不起訴や執行猶予となれば、影響を最小限に抑えることができます。
ご家族が大麻所持などで逮捕されてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています