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証拠がない場合でも自首は成立するか? 自首の効果や出頭との違いを解説

2021年04月15日
  • その他
  • 自首
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証拠がない場合でも自首は成立するか? 自首の効果や出頭との違いを解説

令和元年12月、横浜市に住む無職の少年が詐欺未遂の疑いで逮捕されました。川崎市の男子生徒らと共謀して横浜市内に住む高齢男性宅に「医療費の戻りがある」とうその電話をかけ、男性宅に出向いてキャッシュカードをだまし取ろうとしましたが、男性の親族に詐欺を見抜かれてしまったそうです。少年は「いつか捕まる」と観念して警察署に出頭し、詐欺未遂容疑で逮捕されました。

このように、罪を自覚して自ら警察に自首をすると、その後は有利な展開が期待できるのでしょうか。そもそも、自らの説明だけで罪を犯した証拠がない場合でも自首は成立するのか、自首とは認められないケースはあるのかなども気になるところでしょう。

このコラムでは自首の意味や成立する要件、自首によって得られる効果などを横浜オフィスの弁護士が解説します。

1、自首とは。 定義や出頭との違い

まずは「自首」とはどのような手続きなのかを法的な角度から確認していきましょう。

  1. (1)自首の定義と法律との関係

    自首とは、罪を犯した人物が警察・検察官といった捜査機関に対して自発的に自らの犯罪を申告し、その訴追を求める行為だと定義されています。

    実は、刑法・刑事訴訟法といった各種の法律に、自首の定義は定められていません。
    各種の法律における自首に関する規定は次のとおりです。

    ● 刑法第42条
    罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首をしたときの減軽規定と、親告罪において告訴権者に対して自白した場合の運用が定められています。

    ● 刑事訴訟法第245条
    自首の方法は、書面または口頭によって、検察官・司法警察員に対しておこなわれることと、自首を受理した者は調書を作成しなければならない旨が規定されています。

    ● 犯罪捜査規範第68条
    自首事件について、すでに捜査機関が犯罪や犯人を特定していないか、真犯人やほかの犯罪を隠すための自首ではないかといった捜査上の注意点に関する規定です。

    ● 事件事務規定第8条
    検察官が自首を受ける場合は自首調書を作成する旨が定められています。


    これらの法律は、自首の受理方法や運用について定めたものばかりですが、特に注目すべきは刑法と犯罪捜査規範でしょう。刑法では「捜査機関に発覚する前に」と、犯罪捜査規範では「犯罪または犯人が既に発覚していたものでないかどうか」と規定しています
    これらの規定から、自首とは、捜査機関が犯罪の発生や犯人を特定していない段階において、自ら罪を申告する行為だと解釈できます

  2. (2)自首と出頭の違い

    自首とまぎらわしい行為として、出頭があります。ニュースなどでは「容疑者が自ら出頭した」と報じられるケースもありますが、自首と出頭はまったく違うものです。

    出頭とは、警察署などの公的な機関に自ら出向くことを指します。したがって、罪を犯した当人だけでなく、被害者や参考人が出向いた場合でも出頭という扱いです。また、何らかの事情があって警察からの呼び出しを受け、これに応じて警察署に出向く行為も出頭と呼ばれます。

    被疑者が自ら警察署へと出向いた場合に自首として扱われるのか、それとも出頭したにすぎないのかは、捜査機関が犯罪や犯人を認知しているかによって区別されます。

    また、自首はさまざまな法律の規定がある厳格な刑事手続きのひとつですが、出頭には法的な根拠や規定がありません自首が認められると法律によって有利な措置を受けられますが、出頭にすぎない場合はこれらの措置がないという違いがあります

2、証拠がなくても自首は成立するのか?

自首は、被疑者が口頭や書面でおこなう手続きですが「私が罪を犯した」と証明する証拠を持ち合わせないケースも少なくありません。

むしろ、具体的な証拠を持ち合わせていないケースのほうが多いでしょう。しかし、証拠がないと自首を受理する捜査機関の担当者に「本当にそんな罪を犯したのか?」と信用してもらえず、自首が成立しないのではないかという不安もあるでしょう。

自首が成立する要件に照らしながら、証拠がない場合の自首の成否や自首が成立しないケースを見ていきましょう。

  1. (1)自首の成立要件と証拠との関係

    自首が成立する要件を整理すると、次のとおりです。

    • 自発的に犯罪事実を申告すること
    • 捜査機関に自己への処分をゆだねること
    • 捜査機関に対する申告であること
    • 捜査機関が犯罪を認知する前の申告であること


    これらの要件に照らすと、被捜査機関が犯罪を認知する前に、捜査機関に対して犯罪事実を自発的に申告することが求められているだけであり、証拠の持参まで求められているわけではありません。

    自首を受理した捜査機関は、詳しい事情を尋ねて自首調書を作成します。
    被疑者の自供に基づいた自首調書の内容が真実であるのかを証明するのは捜査機関の責務であって、被疑者には証明を求めていないため、特に証拠がない場合でも自首は有効に成立します

  2. (2)自首が成立しないケース

    被害者が証拠を持ち合わせているかは自首の成否に影響しませんが、ここで挙げるようなケースでは自首が成立しません。

    • 被害者の申告によって警察が事件を認知しており、すでに被疑者がどこの誰なのかが特定されていた
    • 容疑をかけられて取り調べを受けている最中に、観念して犯行を認め自供した
    • 職務質問を受けて不審点を追及され、逃れられないと思い犯行を自供した
    • 指名手配を受けた被疑者が、逃亡をあきらめて最寄りの警察署に出頭した
    • 被害者に疑いをかけられており、身の潔白を証明しようと警察署に赴いた


    ここで挙げたケースは、自白や出頭として扱われるに過ぎません。

    ただし、取り調べに対して自白することや、捜査対象となって自ら出頭することは、逃亡・証拠隠滅のおそれが低いと評価されて逮捕が見送られる可能性を高めます刑事裁判でも有利な事情として扱われる可能性があるため、たとえ自首とは認められないとしても無意味であるとはいえないでしょう

3、自首の効果。 罪が軽減される可能性がある

犯罪の被疑者が自首すれば、被疑者を特定する捜査の手間が省略できるだけでなく、証拠を収集する手間も大幅に軽減されます。
このような捜査上の利益を得られることや、自らの訴追を求める意思が評価されるため、自首が有効に成立すると、法律の規定によって罪が軽減される可能性があります。

  1. (1)刑法による規定

    刑法第42条は、自首があった場合に「その刑を減軽することができる」と定めています。

    「減軽」とは、刑事裁判において刑の言い渡しを受けた者に対し、その罪を減じる処分です。どの程度の減軽が認められるのかは、刑法第68条に規定されています。

    • 死刑……無期の懲役もしくは禁錮、または10年以上の懲役もしくは禁錮へと減軽
    • 無期懲役・無期禁錮……7年以上の有期懲役・禁錮へと減軽
    • 有期懲役・有期禁錮……その長期および短期の2分の1を減軽
    • 罰金……その多額および寡額の2分の1を減軽
    • 拘留……その長期の2分の1を減軽
    • 科料……その多額の2分の1を減軽


    科料とは1000円以上1万円未満の罰金より軽い財産刑です。また、「多額および寡額(かがく)」とは、金額の上限と下限を意味します。

    なお、刑法第42条の規定はあくまでも「減軽することができる」だけであり、必ず減軽されるわけではありません刑を減軽するか否かは、裁判官の裁量にゆだねられていますこれを「裁量的減軽」または「任意的減軽」といいます

  2. (2)特殊な自首減免規定が設けられている場合

    原則として、自首が有効に成立する場合でも刑の減軽が認められるかどうかは裁判官の裁量にゆだねられています。

    ただし、拳銃または拳銃の実包を自ら提出・届け出した者については、銃砲刀剣類所持等取締法第31条の5の規定によって、必ず刑が減軽または免除されます。

4、自首の効果を高めるなら弁護士への相談は必須

罪を犯した事実があるなら、自首によって刑の減軽を期待したほうが賢明な場合が多いでしょう。

刑の減軽は裁判官の裁量にゆだねられているため、必ず減軽されるわけではありません。そもそも、自首が有効に認められるかどうかも定かではないので、自首を検討しているとしても「果たして自首をすべきなのだろうか」と不安を感じる方も多いでしょう。

自首が成立するのかわからない、あるいは自首によって有利な処分を得たいと期待するなら、弁護士への相談はかかせません。

  1. (1)自首が有効に成立するのかを検討できる

    刑事事件の弁護実績を豊富にもつ弁護士に相談し、詳しい犯罪の状況を説明すれば、自首が有効に成立するのか法的根拠に基づいて検討できます。刑の減軽が期待できるのか、逮捕を回避できる状況なのかといったアドバイスを事前に得られれば、自首に関する不安を解消できるはずです。

    もし、すでに捜査機関が被疑者を特定しており、自首が法的には認められない段階にあったとすれば、自首による利益は期待できません。しかし、自首が認められないとしても自ら出頭したことは有利な事情として扱われるため、処分が軽減される可能性があります。

    出頭による利益を高めるためのアドバイスも得られるので、自首の成否に関わらず弁護士への相談をおすすめします

  2. (2)弁護士の同行が可能

    弁護士に依頼すれば、自首の際の同行が可能です。

    自首にあたっては、必ず弁護士の同行を要するというわけではありません。被疑者がひとりで警察署に出向いたとしても、要件さえ満たしていれば自首は成立します。

    ただし、自首が有効に認められたとしても、冒頭で紹介した事例のように捜査機関の判断次第では逃亡・証拠隠滅を疑われて逮捕されてしまうおそれがあります。逮捕が回避される可能性を高めるには、弁護士が同行のうえで「強制捜査の必要はない」という弁護士の見解を口頭で説明する、あるいは意見書などのかたちで主張するのが有効でしょう。

    自らの犯罪にかかる取り調べが始まると考えれば、決心がついたとしても単身で自首するのは心細いものです。そんなときに弁護士が同行するだけでも心強く感じるはずです。

    また、捜査機関が正しく法律を適用して適切に自首を受理してくれるのか、違法な取り調べがおこなわれないかのけん制としても弁護士の存在は非常に大きなものなので、自首にあたっては弁護士の同行をおすすめします

5、まとめ

自首が有効に認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。厳格な手続きであるため、要件を満たさない場合は自首が認められませんが、有効に成立した場合は刑の減軽を受けられる可能性があるだけでなく、逮捕の回避も期待できます。
罪を犯したことを反省しているのであれば、自首によって処分の軽減をはかることで社会復帰や更正がしやすくなるでしょう。

自首が有効に成立する段階にあるのか、自首によって逮捕の回避や刑罰の軽減が期待できる可能性があるのかに不安を感じているなら、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスにご相談ください。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が状況を整理し、自首の成否や効果について的確にアドバイスします。

弁護士による自首の同行も可能なので、まずはお気軽にベリーベスト法律事務所 横浜オフィスまでご一報ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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