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「退職の申し出は3か月前」と就業規則で定めたら有効? 弁護士が解説

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2020年04月30日
  • 労働問題
  • 就業規則
  • 退職
  • 3ヶ月前
「退職の申し出は3か月前」と就業規則で定めたら有効? 弁護士が解説

平成29年3月、横浜地裁にて、退職者に対する損害賠償請求訴訟の判決が下されました。本件では、退職時に引き継ぎをしなかったとして、企業側が従業員に対して1000万円を超える損害賠償請求を行ったものです。しかし、逆に従業員側が「不当な訴訟提起だ」と反訴していました。最終的に横浜地裁が下した判決は、会社側に慰謝料の支払いを命じるものでした。(平成27年(ワ)第1802号、平成27年(ワ)第4485号)

企業側としては、退職時に十分な引き継ぎを行わずに辞められては損害が出るという主張に同意したいところでしょう。では、引継ぎ期間の確保などを理由に就業規則で、「3か月前の退職の申し出」を規定することは認められるのでしょうか。本コラムでは、退職の申し出期間に関する就業規則の規定や法律の規定などを、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が解説します。

1、就業規則で「退職する場合は3か月前までに申し出ること」と規定しても有効?

結論を先に述べますと、「退職の通知は退職日の3か月前にすること」と規定すること自体は自由ですし、可能であるといえます。企業側としては、引き継ぎや補充人員の確保などの時間を考慮して、3か月前に知らせてもらいたいと考えるのは、ある程度理解できます。

しかし、それを従業員に強制することはできません。たとえば、実際に就業規則で従業員に対して3か月前の退職通知を義務付けたとしましょう。その後、それを根拠に従業員の退職を拒んだり、退職を認めずに働かせたりした場合は、労働基準法違反に問われる可能性があるのです。それでも就業規則に記載したい場合は、「お願いする」という形で記載するとよいでしょう。

もちろん、従業員が自主的に、3か月前に退職を通知するのであれば問題ありません。ただし、お願いとしながらも、暗に退職を認めない発言や行動がある場合は、違法行為とみなされるリスクがあります。

2、法的な退職申し出期間のルールとは

従業員から会社側への退職申し出期間のルールは、労働基準法ではなく民法により、申し出期間のルールが規定されています。ここでは、多くの正社員が該当する「雇用期間の定めがない従業員」についてのルールを説明します。

一般的な、雇用期間に定めがない働き方を選択している従業員が退職を希望する場合は、民法第627条第1項を根拠に、「従業員は、退職の2週間前までに通知すればよい」とされています(ただし、雇用期間に定めがない方でも、月給制の場合は、民法第627条第2項により、給与計算期間の前半に通知する必要があります)。民法の規定と会社が作成した就業規則は、どちらが優先されるのかという問題は、令和2年4月現在では「民法が優先する」考えるのが一般的です。

したがって、就業規則に「退職の3か月前に退職の意思を通知すること」と義務付けて強制する行為は、民法627条に反する行為にみなされます。

なお、期間に定めがある働き方については、原則として契約期間が満了した時点で労働契約が終了します。契約終了時に退職を申し入れられれば受け入れざるを得ません。逆に言えば、やむを得ない事由がある場合ではない限り、期間満了するまでは従業員側からの退職を受け入れなくてもよいということです。ただし、従業員側に損害賠償請求ができるかといえば、やむを得ない事由が従業員自身の過失である場合に限られるでしょう。

ただし、退職したい従業員側ではなく、企業側が、期間契約をしている従業員に辞めてもらいたいと考えるときは少々ルールが異なります。厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によると、3回以上契約が更新されている場合や雇用期間が1年を超える契約の場合は、30日前にその予告をするよう定められています。会社側の都合で解雇する場合は「30日前までの通知」を徹底しておきましょう。

他方、会社と従業員双方が了承すれば、いつでも退職は可能です。

3、法的に「3か月」が有効になる場合は?

では、「退職の申し出を3か月前にまでにしておくこと」などの規定が許されるケースはないのでしょうか。実は、限定されるケースではありますが、3か月前に退職を申し出ることが認められている働き方があります。それが年俸制です。さっそく民法の条文を確認してみましょう。

民法第627条第3項
6か月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申し入れは3か月前にしなければならない。


年俸制は「6か月以上の期間によって報酬を定めた場合」の代表例といってよいでしょう。したがって、年俸制として労働契約を結び働いている従業員については、就業規則で「3か月前に退職を通知すること」と義務付けてもまったく問題はありません。

どうしても3か月前の退職通知を徹底したいのであれば、従業員を年俸制にするというのもひとつの有効な手段となりえます。ただし、現状、すでに労働契約を結んで働いてもらっている従業員を年俸制に切り替えるためには、従業員の同意が必要です。さらに、年俸制への切り替えに付随して就業規則や雇用契約等を見直さなければなりません。人事労務問題を取り扱っている弁護士などに相談することをおすすめします。

4、退職届を受理しなかったらどうなる?

では、就業規則に3か月前に退職を通知することを規定してあることを盾に、従業員からの退職届を受理しなかったらどうなるのでしょうか。簡単にいえば、慰謝料請求のおそれ、労働基準監督署への通告を受けるおそれなどがあります。

  1. (1)退職届の受理を拒否したら慰謝料を請求される可能性がある

    従業員が、「2週間後に退職する」とする退職届を提出したにもかからず、会社側が拒否をした場合は、従業員から慰謝料を請求されるおそれがあります。働くことを強要する行為は従業員の権利を侵害していると考えられます。訴訟になれば慰謝料の支払いが命じられる可能性があるでしょう。

  2. (2)弁護士や退職代行会社が介入するおそれがある

    従業員からの退職届の受理を拒否すると、従業員が弁護士や退職代行会社に、手続きを依頼する可能性があります。どちらの場合も、依頼後は従業員と直接話すことができず、弁護士や退職代行会社とやりとりをすることになります。引き継ぎなどに支障をきたすリスクがあるでしょう。

    会社側は、退職日から2週間以上前に提出される退職届を拒否することはできません。たとえ退職届を拒否しても、メールや電話で「退職する」という意思を受付ければ、2週間後に労働契約が終了してしまいます(ただし、前記のとおり、月給制の場合は給与計算期間の前半に退職の通知をする必要があります)。つまり、退職届の受理を拒否すると、従業員本人と話すことができなくなり、業務に支障をきたすというデメリットしかないということです。

    また従業員が弁護士に相談することで、会社側にとっては身に覚えのないハラスメント行為に対する損害賠償請求を求められるケースがあるでしょう。

  3. (3)労働基準監督署に通報される

    退職届を拒否すると、労働基準監督署に通報されて、労働基準監督署(労基署)による調査や指導が入るケースもあります。2週間前から退職を求めている従業員に在職を強要すると、従業員は労働基準監督署や労働局に相談する可能性があります。

    また、退職の意思に反して働かせ続ける行為は、「労働基準法第5条」に違反すると考えられます。労働基準法では、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は不当に拘束手段によって労働者の意思に反して労働を強制してはならない」と規定しているのです。

    労働基準監督署は、企業の違法な操業を監視する機関です。相談は無料であるため、従業員が利用するためのハードルが低いと考えられます。「退職させてくれない」という従業員の通報を受ければ、調査を行い、必要に応じて指導が行われます。

    もし、労働基準監督署からの指導に従わなければ、企業名が公表される、送検されるなどのペナルティーが課される可能性が高まります。企業イメージに悪影響を及ぼすことになるでしょう。

5、退職届を提出した従業員に対して言ってはいけないこと、やってはいけないこと

前述のとおり、一般的な正社員であれば退職日の2週間前に退職の意思を通知することで退職が可能です。企業側は退職を拒否することはできません。

従業員の退職意思を撤回させるため次の行動をすると、労働問題に発展するリスクがあります。

  • 3か月以内に退職するなら退職金を支払わない
  • 3か月以内に退職するなら損害賠償を請求する
  • 後任を見つけてこなければ退職は認めない
  • 有給の消化を認めない
  • 離職票を発行しない
  • 社会保険の諸手続きを放棄する


これらの発言や通知を、従業員が不服として弁護士等に相談した場合は、逆に損害賠償請求訴訟を提起されるおそれがあります。必ず避けるようにしましょう。

6、まとめ

就業規則に「退職する場合は3か月前に通知すること」と規定すること自体は可能です。しかし、その規定を従業員に強制することはできません。

就業規則だからと、3か月前に退職意思を示すことを強制すれば、慰謝料の支払いを求められたり、労働基準監督署への通報がなされたりするでしょう。さらにインターネットで拡散されてしまえば、企業側には不都合になる点が多いと考えられます。就業規則に定めがあったとしても2週間以上前に退職意思を示したケースについては、引き留めないようにしてください。

法的に有効な就業規則の作成や、労働問題が発生しないように備えておくのであれば、まずはベリーベスト法律事務所横浜オフィスにご相談ください。弁護士だけでなく社会保険労務士も在籍しておりますので、より専門的な解決方法の提案が可能です。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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