これは営業妨害? 悪質なクレーム対策を弁護士に依頼するメリットとは
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クレームも正しく生かせば企業を成長させる薬となります。たとえば平成23年の横浜DeNAベイスターズは、観客動員数の減少に悩み、実際に座席稼働率は50%にすぎない状況だったのだとか。ところが平成29年には座席稼働率が96%を超え、ファンクラブの会員数も当時の14.4倍と急増しています。
その理由は、ユニークな集客施策にあるといわれています。ターゲットを絞り、観客の反応を確かめながら、チームの成績とは関係なく楽しめるスタジアム作りに特化したのです。お客さまの声と失敗を参考にしたことによって、より満足度が高いイベントを開催できるようになったのでしょう。
しかし、悪質なクレームは企業価値を向上させるどころか、生産性の低下を招きかねません。場合によっては身の危険を感じるケースもあるかもしれません。そこで、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が、基本のクレーマー対策や、悪質クレーマーへの法的措置などについて解説します。困ったときはもちろん、転ばぬ先の杖として参考にしてください。
1、クレーマー対応の基本とは
クレーム対策の基本はきちんと話を聞いた上で、正当なクレームとは向き合って対応することです。お客さまが、不快な思いをしたことを謝罪した上で、クレームの内容をきちんと聞いてください。
話を聞いた上で、クレームの内容が不当であると判断した場合は、まずは個人で対応せず「組織」で対応することがもっとも重要となります。クレーマー対企業の担当者個人という状況では、クレーマーのほうが「お客さま」という立場なので有利になってしまいがちです。場合によっては火に油を注ぐことになり、被害が広がる可能性があるでしょう。
また、従業員ひとりにクレーマー対応を一任すると、精神的に追い詰められてしまう可能性が高まります。そうなれば、他の業務に大きな悪影響が出ると考えてよいでしょう。したがって、クレーマーが現れた場合は、「組織」で対峙するというルールを徹底してください。
人間の怒りの持続時間は20分だといわれています。通常の怒りであれば20分経過すれば、沈静化して冷静になるはずです。正当な理由がないのに20分以上怒り続けている場合は、悪質なクレーマーの可能性が高いと考えましょう。担当者を変わる、上司に対応してもらう、など「人」を変えてみる必要があるかもしれません。
クレーマーは話を大きくすることを切り札にすることが多いため、「上司を出せ」などと発言する可能性があります。しかし、社内の体制が整っていなければ、担当者がひとりで抱え込んでしまうことになりかねません。その体制がクレーマーを増長させることになるのです。
したがって、大前提として、クレームは「自分だけで対応するものではないこと」を従業員たちに意識づけることが重要です。クレーム対応は担当者個人の責任ではなく、組織の責任だと経営者が自覚して、ひとりで抱え込まないような体制を作ることが大切です。
ただし、小規模組織の場合は、対応する人員もそれほどいないため、早い段階で弁護士に対応を一任してもよいでしょう。
2、このようなときは対応不要! 不当なクレームとは?
「ラーメンの中に髪の毛が入っていた」というお客さまのクレームは正当なクレームです。髪の毛が入っていることを確認した上で、きちんと謝罪し、新しいラーメンを提供する、ラーメン代を無料にするなどの誠意ある対応が必要でしょう。
それに対して不当なクレームの一例が「ラーメンに髪の毛が入っていたから慰謝料100万円を支払え」などの過大要求です。ラーメンに髪の毛が入っていたことは事実でも、請求してくる金額が大きすぎます。
以下の条件に当てはまるクレームは、原則として対応する必要はありません。
- ミスや落ち度がないのにクレームを言っている
- ミスによって被害を受けていないのに慰謝料等を請求している。
- 損害額を大幅に超えた要求をしてくる。
- 要求内容が度を超えている。
特に多く見られるのが「損害額を大幅に超えた要求」です。たとえばクリーニング店で、店側のミスによりブランド物の衣類が破損した場合、通常は同等品を購入するための費用などで賠償されるケースがほとんどでしょう。しかし、それでは納得せずに「最高グレードの商品を用意しろ」などと請求してくるケースも考えられます。
また、「今すぐ家に来い」、「今日中に新しい製品を用意しろ」などの要求も応じる必要はありません。要求に応じ続けるとどんどんと求める要求が増えてしまい、対応しきれなくなってしまいます。
不当な要求には対応する必要がありません。毅然とした対応を取りましょう。
3、悪質クレーマーへ法的な対応を行う必要性
悪質なクレーマーには、訴訟等の法的措置を含めた対応が求められます。たとえば、「慰謝料を支払わなければネットに書き込んでやる」などと、脅してきた場合、企業や店舗側は大問題にしたくないため要求を飲んでしまいがちです。
しかし、悪質なクレーマーの要求を一度飲んでしまえば次から次に要求がエスカレートする可能性があります。
クレームをいうことで自身のストレスを発散していたり、担当者を諭すことで満足感を覚えたりするタイプのクレーマーも存在します。そのケースではいくら誠実に対応しても解決しません。それどころか、担当者を始め会社全体の生産が低下し業績の悪化につながる可能性が高いでしょう。
したがって、悪質クレーマーに対しては「法的措置も辞さない姿勢」で対応することが求められます。「賠償金を支払わなかったらインターネットに書き込む」などの発言は、脅迫罪や恐喝罪に問える可能性があります。万が一、本当にインターネットに書き込みを行った場合は名誉毀損(きそん)罪が成立することもあるでしょう。帰宅を促しても帰らず、居座り続けるケースであれば「不退去罪」として警察に通報することも検討できます。
4、クレーム対応を弁護士に依頼する3つのメリット
クレーム対応は、法的措置を視野に入れて毅然とした対応が求められるので、弁護士に対応を一任するのが最適と考えます。
ここでは、弁護士に対応を依頼する3つのメリットについて解説いたします。
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(1)交渉を一任できるので業務に支障をきたさない
クレーム対応は精神的に疲弊するだけでなく、物理的なリソースや時間も浪費します。会社が組織的にクレーム対応をせずに担当者任せにしてしまうと、人手不足であっても担当者が疲弊してしまい退職してしまう可能性は否定できません。貴重な人的資産を守る意味でも、弁護士に交渉を一任するのがベストといえるでしょう。
弁護士にクレームの対応を丸投げすれば、現場の貴重な人材がクレーム対応で時間を割かれることがありません。また、多くのクレーマーは弁護士が登場するだけで、怒りを収束させ要求を撤回することもあるため、早い解決につながります。 -
(2)インターネットへの誹謗中傷の削除
悪質なクレーマーは、会社側への要求が通らないとインターネット掲示板やSNSに誹謗中傷の書き込みを行うことが少なくありません。
誹謗中傷の書き込みは、プロバイダーや管理者に依頼することで削除してもらえる可能性があります。インターネットの書き込みとは時間がたてばたつほど拡散される可能性が高まり、場合によっては検索結果画面に残ることもあるでしょう。
しかし、個人や企業からの依頼ではすぐに削除に応じないケースもあり、裁判所に削除を要請する場合は書類の用意や作成も煩雑な手続きを要求されます。弁護士に削除対応を依頼すれば、プロバイダーや管理者への削除依頼の時点で成功することも少なくありません。また、裁判所への削除要請手続きもスピーディーに行えます。
素早く確実に、誹謗中傷書き込みの削除要請を行うのであれば、弁護士へ依頼することがベストな選択といえるでしょう。 -
(3)規約の見直し
クレーマーに過大要求をさせないためには、既存の規約や契約書を見直す必要があります。企業側が責任を負う部分と負わない部分を明確にすることで、一定のクレームを防ぐことが可能です。
その際は、各種関連法に従って作成する必要があります。法律を熟知している専門家の知識が必要不可欠といえます。クレームを防止するために規約を改正したのに、内容が法律にそぐわなかったり、消費者の権利を侵害していたりすると火に油を注ぐ結果になりかねません。消費者団体から指摘を受けて、すべてのやりとりが公表されるなどのリスクもあります。
クレーム対策で規約や契約書を見直す場合は、弁護士に法的に問題がないかどうかを含めて対応を一任することをおすすめします。
5、まとめ
悪質なクレーマーに対して誠実に向き合うメリットはありません。悪質なクレームには毅然とした対応を取り、通常の業務を行うことが重要です。状況によっては弁護士に一任することも考えましょう。
ベリーベスト法律事務所には低コストで始められる顧問弁護士サービスを提供しています。悪質なクレーマーに狙われないようにするだけでなく、万が一の際もスピーディーな対応が可能です。
まずは、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士に相談してください。クレーム対応の経験が豊富な弁護士が、クレーマーに狙われている可能性がある、狙われたくないなど、状況に適した解決策・対応方法をアドバイスします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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