旦那が盗撮? 逮捕後の流れと家族が取るべき行動とは

2018年11月27日
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旦那が盗撮? 逮捕後の流れと家族が取るべき行動とは

最近、盗撮事件を報じるニュースが後を絶ちません。平成30年1月、小田急江ノ島線中央林間駅構内の階段で女子高校生のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、神奈川県企業庁の男性職員が県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで2月16日に書類送検されました。9月5日、同庁はこの男性職員に対し、減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にしたことを発表しています。同庁の聴取に対し、男性職員は「仕事のストレスがたまっていた。魔が差してしまった」などと話しているとのことです。

スマートフォンなどで誰でも手軽に撮影ができる昨今、盗撮は決してひとごとではありません。もし、旦那様や家族がふと魔が差して盗撮を行ってしまい、逮捕されたとしたら、あなたはどうしますか。法律を確認しながら、取るべき行動をシミュレーションしてみましょう。

1、盗撮で問われる罪

そもそも、盗撮はどのような法律に抵触し、どういった罪に問われるのでしょうか。まずは条令や法律を確認しましょう。

  1. (1)迷惑防止条例違反

    盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例に規定が設けられています。神奈川県の場合は「神奈川県迷惑行為防止条例」の第3条において、「公共の場所等にいる人に対する痴漢や盗撮等の行為を禁止」しています。

    同条例の第15条に罰則が規定されており、第3条の規定に違反した者は「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」に処すると記されています。

  2. (2)軽犯罪法違反

    また、盗撮の場所・状況によっては、軽犯罪法違反の可能性もあります。

    軽犯罪法第1条第23号に「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は「これを拘留又は科料に処する」と規定が設けられています。迷惑防止条例に該当しない盗撮行為の多くが、ここに包含されるものと考えられます。

  3. (3)その他の刑法

    同じく、盗撮の場所や状況によっては、刑法違反の可能性もあります。他人の住居に侵入して盗撮していた場合は、住居侵入罪にあたります(刑法第130条)。誰も居住していない建造物でも、人が看守するもので正当な理由がないのに立ち入った場合には、建造物侵入罪にあたります(刑法第130条)。それぞれ、「3年以下の懲役」または「10万円以下の罰金」に処せられます。

    また、18歳に満たない児童を盗撮した場合には、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制および処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)」に規定する児童ポルノの所持に該当し(同法7条)、「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」に処せられる可能性もあります。

2、旦那様が盗撮で逮捕された後の流れ

では、家族が盗撮で逮捕されてしまった場合、どうなってしまうのでしょうか。その流れを確認していきましょう。

  1. (1)取り調べ

    事件の容疑者として逮捕された者は、「被疑者」と呼ばれます。逮捕された後は、まずは警察署などで、身元の確認、罪状を認めるか否かの確認など被疑者に対して取り調べが行われます。

    警察(司法警察員)が被疑者の身柄を拘束できるのは48時間以内と決まっている(刑事訴訟法203条、211条、216条)ため、警察は期限が来るまでに送致するか、釈放するかを決定する必要があります。嫌疑が不十分であれば身柄を解放(釈放)されますが、嫌疑が十分であると判断された場合は、検察へ送致されることになります。

  2. (2)身柄送検・書類送検

    検察への送致は、一般的なニュースなどでは「送検」と呼ばれています。送検には「身柄送検」と「書類送検」があります。

    「身柄送検」とは、司法警察員が犯罪の捜査をして、被疑者が逮捕された場合には、その身体を拘束してから48時間以内に、犯罪の捜査で収集した書類および証拠物とともに、被疑者の身柄ごと事件を検察官に送致することをいいます。

    「書類送検」とは、「在宅事件扱い」とも呼ばれている措置です。被疑者の身柄を拘束せず、速やかに、犯罪の捜査で収集した書類および証拠物のみで事件を検察官に送致することをいいます。送致された事件について検察官が捜査を行い、起訴するか不起訴にするか判断を下すことは、身柄送検の場合と同じですが、時間的な制約がありません。被疑者の取り調べは検察からの呼び出しで行われ、捜査が終わり次第判断が下されることになります。

  3. (3)身柄送検後の勾留

    検察へ身柄送致された場合、検察が身柄を拘束できるのは、刑事訴訟法で24時間以内と決まっています。しかし、24時間で取り調べが終わらず、さらに身柄を拘束したまま捜査を続ける「勾留(こうりゅう)」を行う必要があると判断した場合は、検察は裁判所に対して勾留請求を行います。

    裁判所は勾留請求に対して、容疑者に逃亡のおそれがある場合や、証拠を隠滅するおそれがある場合などに、勾留を認めます。勾留が認められてしまうと、原則10日間の勾留、延長が認められるとさらに10日間、最長20日間、身柄が拘束されることになります。

    この間、取り調べ以外にも、被疑者の自宅や勤務先における証拠品探しや押収(いわゆる家宅捜索)、事件現場における実況見分、被疑者以外の事件関係者に対する取り調べなどといった捜査が行われます。

  4. (4)起訴・不起訴の決定

    検察は勾留期間内で捜査を継続し、その結果に基づき、起訴するか不起訴にするかを決めます。検察官が起訴をするか否かを判断する要素は、嫌疑が十分か否かですが、嫌疑が十分であったとしても、犯人の性格や犯罪の軽重などあらゆる事項を勘案し、起訴をしない場合もあります(起訴猶予)。この時点で、被害者との示談が成立しているかどうかも、大きな判断材料となります。

3、少しでも早く旦那様を助けるには?

ここまで見てきたとおり、逮捕されてから起訴まで、最長で23日間、身柄が拘束されてしまいます。仕事にも差し支えますし、お子さんやご親族も大変心配することは間違いありません。また、なによりあなた自身も、23日間も全容がわからず待つことになれば、この先どうなるのかと大変不安になることでしょう。

では、どうすれば少しでも早く日常に戻ることができるか、逮捕後の時系列に沿って解説いたします。

  1. (1)逮捕後の勾留期間中

    逮捕後、警察および検察に身柄を拘束される合計72時間、そのうち検察への送検前の48時間が、長期勾留を回避するためには非常に大切な期間です。しかし、この期間は身内であるあなたでも、旦那様に会うことはできません。

    これには大きく3つの理由があります。
    • 逃亡のおそれを防ぐため
    • 証拠隠滅のおそれを防ぐため
    • 口裏合わせを防ぐため

    身内であるからこそ、家族の罪を軽くしたいと考えることは自然なことです。しかし、だからこそ、犯罪の証拠を隠滅したり口裏を合わせたりする可能性があるとみなされるため、少なくとも捜査が続く間は、家族は被疑者に会うことはできないとお考えください。

    この期間に面会することができるのは、弁護士のみと刑事訴訟法で決まっています。

    逮捕された旦那様も、自分がどのようなことをしてしまって、これからどうなるのか不安で仕方がないことでしょう。

    弁護士は接見(面会)した際に、事実の確認や捜査を受ける際の助言をします。身柄送検に至った場合も、そこから24時間以内に行われる勾留請求の回避を目指して活動します。

    また、勾留請求が提出され、10日間の勾留が許可された場合も、引き続き被疑者側の主張を裁判所や捜査機関へ伝えたり、示談を行ったり、嫌疑を晴らす証拠を収集・提示するなどの活動を行います。

    このように早期から弁護士が活動を開始することで、裁判での弁護に必要な情報が蓄積でき、早期釈放や不起訴処分の獲得につながります。起訴に至った場合も、執行猶予付きの判決で実刑をまぬがれるなど有利な内容の判決となる可能性があります。

  2. (2)示談交渉

    送検後、検察は起訴をするか否かを判断しますが、この間に被害者との示談をまとめることができれば、不起訴になる可能性を高めることができます。

    しかし被害者は、加害者と直接接触をもつことを避け、弁護士を通じてのみ交渉に応じる場合が多く、当事者間で示談交渉を行うことは難しいのが現実です。弁護士であれば、限られた時間の中で、これまでのあらゆる事例を参考に、適格な賠償金額と無理のない支払い方法を提案することができます。

    さらに、示談では多くの場合「示談書」という書面を取り交わしますが、重要事項を書き漏らすなどの後顧の憂いを残さないためにも、示談の経験豊富な弁護士に示談書の作成を任せることをおすすめします。

4、まとめ

家族の逮捕という出来事に突然見舞われると、気が動転して冷静な判断ができなくなってしまうこともあるでしょう。しかし、ここまで解説してきたとおり、逮捕後は時間との勝負です。

逮捕が判明したら、一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。状況に応じ迅速な対応を行い、ご家族全員にとっての最善策を提案することができるでしょう。

神奈川・横浜で身内が刑事事件に巻き込まれてお困りの方がいらっしゃれば、ベリーベスト法律事務所横浜オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています