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悪質な訪問販売を断りたい! 違法になるケースと対処法を弁護士が解説

2020年12月14日
  • 一般民事
  • 訪問販売
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悪質な訪問販売を断りたい! 違法になるケースと対処法を弁護士が解説

訪問販売の業者に強引なセールスを繰り返しされ、困っているというケースがあります。また、国民生活センターがまとめた「消費生活年報2018」によると、訪問販売に関する相談の70%以上が70歳以上であり、高齢者に向けた販売が圧倒的に多い傾向となっています。

便利なネット通販では味わえない販売員との会話が楽しく、セールスと知りつつもつい購入してしまい、後から後悔するというケースが少なくないのではないでしょうか。横浜市でも少子高齢化の波は避けがたく、横浜市統計書によると、平成31年では年少人口が減る一方、老年人口は増加するという結果がでており、訪問販売によるトラブルは対岸の火事ではありません。

このような悪質な訪問販売を撃退するには、どのような方法があるのでしょうか。法的な対応方法はあるのでしょうか。ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が解説します。

1、訪問販売を規制する法律(特定商取引法)

訪問販売は、買い手がその品質や価格に納得して購入するのであれば、まったく問題がないビジネスです。しかし、買い手にとって必要のない商品や、支払い限度を超えた高価な商品を買わされることは大きな問題です。特に、訪問販売の場合は、買い手の自宅に業者が来るため、住所や個人情報を知られているという懸念や、直接断りにくいなど、買い手が不利な状況におかれやすくなります。

特定商取引法は、売り手の違法・悪質な勧誘などを防止し、消費者の利益を保護するルールを定めた法律です。訪問販売はもちろん、通信販売、電話勧誘販売、マルチ商法、特定継続的役務提供(語学教室等)など、トラブルが生じやすい取引に関する規制が定められています。

2、訪問販売に該当する行為とは

  1. (1)訪問販売とは

    訪問販売の定義は、特定商取引法の2条1項にあります。まとめると以下のようになります。

    1. ①販売業者等が営業所等以外の場所において、商品の売買契約の締結等を行うこと
    2. ②販売業者等が営業所等において、営業所等以外の場所で呼び止めて営業所等に同行させた者等(特定顧客)との間で、商品の売買契約の締結等を行うこと


    ①は、自宅に業者がやってくる、いわゆる「訪問販売」のイメージになります。「売買契約の締結等」とは、契約締結に至らなくても、消費者が契約の申込みを行うことも含まれています。一般に、契約というものは、当事者同士が申込みと承諾を行って成立するものですが、買い主(消費者)が「買います」と言って申込みをして、売り主(販売業者)が承諾をしない場合(在庫の確認などのために一旦営業所に持ち帰って後日成約するケースを想像してください)であっても、この「訪問販売」に該当するということです。

    ②は、路上で「すみません」などと声をかけて営業所に消費者を連れて行き、交渉を行うケースです。いわゆる「キャッチセールス」や「アポイントメントセールス」と呼ばれる取引形態です。自宅に販売業者がやって来るわけではないですが、突然声をかけられて断るかどうかを決めなければいけないため、自ら店に入って買い物をするよりも消費者の不利益が生じやすくなります。そのため保護の対象となっています。

  2. (2)規制対象となる商品・サービス

    特定商取引法では、原則として、すべての商品・サービス(役務)が規制対象となっています。しかし、クーリングオフについては、クーリングオフになじまないような商品・役務は対象外とされています。

    クーリングオフの対象外となるのは、主に以下のケースです。

    • 化粧品・健康食品などの特定の消耗品を使用した場合
    • 現金取引で3000円に満たない商品やサービス
    • など


    3000円以下の商品が対象外である理由は、消費者の被る損害が甚大とはみなされないためです。また、下限なくクーリングオフを認めることで販売業者に過酷な負担を強いるのを回避する目的もあります。

    かつては規制対象となる商品を法令で指定していました。しかし、その目をかいくぐって規制対象外の商品を販売し、消費者に損害を与える悪徳業者が現れたため、平成24年の法改正において、原則すべての商品を規制対象として定めるという方針に変更となりました。

3、訪問販売に対する規制と禁止行為

特定商取引法において、販売業者が訪問販売の際にしなければいけないこと、してはいけないことを解説します。もし販売業者が該当行為をしている場合、違法行為とみなされる可能性があるでしょう。

  1. (1)事業者の氏名等の明示

    事業者の氏名等の明示は、特定商取引法3条に定められています。勧誘行為や商品紹介を行う前に、事業者はまず氏名を言わなければなりません。後でトラブルになったときに、訪問販売で来たのがどこの誰だったかわからないと、対応できないためです。

    続けて、契約の締結について勧誘をする目的であることをはっきりと言わなければいけません。トラブルになりやすいのが、いわゆる「点検商法」(ブラインド商法)です。電気や水道、シロアリなどの点検と偽って家に入り、「漏電の可能性があって危険」「水質が汚染されている」「床下がシロアリ被害で腐っている」などと言って不安をあおり、交換部品を売りつけたり、工事の契約をさせたりする悪徳商法です。勧誘目的を隠し、点検だと嘘をつくことは違法行為です。

  2. (2)再勧誘の禁止等

    再勧誘の禁止等は、特定商取引法3条の2に規定されています。消費者が「いりません」と言って商品の購入を断ってもしつこく勧誘を行ったり、後日あらためて勧誘したりしてはいけません。家に来なくても、電話をかけてくるだけで本条違反となります。

    業者に帰ってほしいときは、「帰って下さい」「お引き取りください」とはっきり言いましょう。言っても帰らないと、本条に違反するだけでなく、刑法130条後段の不退去罪にも当たる可能性が出てきます。

  3. (3)書面の交付

    書面の交付は、特定商取引法4条5条に規定されています。事業者は、契約の申込みを受けたときや、契約を締結したときには、次のような事項を記載した書面を消費者に交付しなければいけません。

    • 商品の種類
    • 価格
    • 代金の支払時期、方法
    • 商品の引き渡し時期
    • クーリングオフに関する事項
    • 事業者の氏名、住所、電話番号
    • など
  4. (4)不実告知・事実不告知・威迫

    特定商取引法6条では、不実告知・事実不告知・威迫の行為を禁じています。ウソをついたり、販売業者にとって都合の悪い事項、消費者が知らないと損をする事柄を知らせなかったりといったことは違法であり、契約を締結させるために相手を威迫してはならないということです。特に、違約金については、後々トラブルになりやすい傾向があります。また、維持費がかかる分、最初の購入価格が安くなっているケースでは、維持費がかかることが隠されていると、後で多額の支払いが発生することとなり、消費者の負担が過大になります。これは事実の不告知にあたります。

  5. (5)過量契約

    過量契約については特定商取引法9条の2に規定されています。日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約は、契約締結日から1年以内であれば解除することができます。たとえば、老夫婦が二人で暮らしている場合、羽毛布団は10枚も必要ないでしょう。その事実がわかっていながら大量の商品を売りつける行為は、条文違反として、契約を解除できます。

    注意すべきポイントは、この条文は過量契約を違法としているのではなく、過量契約は解除ができると定めている点です。消費者が欲しいと思い、納得したうえで羽毛布団を10枚買うのは、問題ないからです。

  6. (6)クーリングオフの妨害

    4章で詳しく説明しますが、訪問販売にはクーリングオフ制度があり、一定の条件のもとで申込みの撤回や契約の解除を行うことができますが、これを妨害してはいけません。例えば、クーリングオフはできないとウソをついたり、消費者の家族などがクーリングオフをするようにすすめるのを防止するために「ご家族には内緒ですよ」などと言ったりするのは、妨害行為といえます。クーリングオフの妨害については特定商取引法9条に定められています。

4、契約の解除は可能?

  1. (1)クーリングオフ制度とは

    悪質な訪問販売により無理矢理に商品を購入させられた場合、契約の解除をすることができます。それが、「クーリングオフ」です。

    クーリングオフとは、消費者が商品の契約書面を受け取ってから8日間以内であれば、無条件で、申込みの撤回および契約の解除をすることができる制度です。訪問販売で契約してしまうときは、商品が魅力的に思えたり、販売業者が目の前にいるせいで断りにくかったりするものです。冷静に頭を冷やして考えて、やはり必要のない買い物だったと思った場合は、クーリングオフを利用しましょう。

  2. (2)クーリングオフの手続きと条件

    クーリングオフによる、申込みの撤回および契約の解除は書面でしなければなりません。口頭で行っても無効とされる可能性があるので、注意してください。なお、書面といっても、葉書で問題ありません。クレジットカードで買い物をした場合には、販売業者と同時にクレジット会社にも通知しておきましょう。

    クーリングオフは、どんな商品でもできるわけではありません。まず、3000円未満の契約は、基本的には対象外です。理由は前述のとおり、損害額が小さいためです。また、健康食品や化粧品などの消耗品を使用した場合も、クーリングオフの対象外となります。一旦使用してしまうと、返品しても、業者は他の人に売ることができないからです。ただし、訪問販売時に、業者の指示で使用・消費した場合は除きます。「試しにどうぞ」と言って使わせて、「使ったのだから買い取れ」と言ってくる悪徳業者がいますが、これは違法行為になります。

    なお、8日という期間を過ぎてしまった場合であっても、契約に何らかの問題点(書面の不交付や記載漏れなど)があると、クーリングオフができる場合があります。

5、まとめ

今回は悪質な訪問販売を規制し、消費者を保護する法制度について解説をしました。身近な問題であるがゆえに自分で対応しようとする方が多いようですが、相談窓口はあくまで「相談」のみで具体的な対応をしてくれるわけではないというケースが多いのが現実です。

もしも悪質な訪問販売に悩まされている方は、弁護士にご相談ください。身近な民事問題の解決実績がある弁護士に依頼すれば、最適な解決方法をご提案することができます。また、すでに購入してしまった場合でも、契約に問題があれば、契約の解除が行える可能性があります。弁護士と共に契約内容を整理することで、対処法が見つかるかもしれません。ご相談は無料ですので、まずはベリーベスト法律事務所 横浜オフィスへお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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