爆サイへの削除依頼手順と、削除してもらえない場合の対処法は?横浜の弁護士が解説
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平成30年1月、ネットで妻を誹謗中傷した女性に対し、スポーツ選手が損害賠償を請求したニュースが話題となりました。インターネットが日常に欠かせなくなった今、心ない書き込みによって精神的に疲弊してしまう被害者は有名人だけではありません。たとえば、神奈川・横浜の地域情報が匿名で投稿できる「爆サイ」という日本最大級をうたったローカルコミュニティ掲示板サイトがあります。本来は地域の情報交換を行う目的のサイトだと思われますが、個人情報を書かれたり誹謗中傷されたりしたというケースがあります。
もし自分や家族がインターネット上で誹謗中傷被害に遭ったらどのように対応すればよいのでしょうか。
万が一のとき行うべき削除依頼方法から、削除してもらえなかった場合の対処法まで、横浜の弁護士があわせて解説します。ぜひ参考にしてください。
1、爆サイへの削除依頼方法
「爆サイ」とは、冒頭で述べたとおり、地域密着型の掲示板サイトです。県のみならず市区単位で区分けされ、さらに投稿の内容ごとにスレッドと呼ばれる掲示板を自由に立てることができます。その数は膨大で、すべて読みつくすことは非常に難しいでしょう。
もし、爆サイへあなたや家族を誹謗中傷する投稿をされてしまったときは、いち早く消してほしいと考えるのではないでしょうか。投稿の削除を依頼する手順は、以下のとおりです。
- 1)爆サイの該当スレッドのうち、削除を依頼したい発言の「レス番号」をメモする
- 2)誹謗中傷が書かれたスレッドを開いて、最下部にある「削除依頼」を選び、クリックする
- 3)「必須」というマークがついている項目をすべて入力し、「内容を確認し同意する」にチェックを入れる
- 4)「削除依頼を送信」というボタンをクリックする
2、削除依頼の注意点
爆サイへ削除依頼する手順そのものは簡単だと思うかもしれません。しかし、削除依頼フォーム上にも記載されているとおり、「削除は慎重に行っている」と明言されています。「自分が不快」だからという理由だけでは削除依頼に対応してくれることは難しいと考えられます。
削除依頼の際、あらかじめ知っておく必要がある注意点は以下の2点です。
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(1)スレッドごと削除してもらえるわけではない
ひとつめの注意点は、削除依頼を送信してもスレッドごと削除してもらえるわけではないことです。
1回の削除依頼で削除してもらえるのは、「ひとつの発言(レス)」のみです。該当のスレッドを丸ごと削除してもらえるわけではありません。もし誹謗中傷にあたる発言が複数あるなら、該当する発言ごとに削除依頼を送る必要があるということです。
とはいえ、あまりにも悪質性の高い場合や、ひとつのスレッドで誹謗中傷に該当する発言が多数ある場合は、スレッドごとの削除依頼も対応してくれる可能性もあります。その場合は、侵害されているあなたの権利や、発生している実害を具体的に記載して、削除依頼を送信する必要があるでしょう。 -
(2)削除してもらえないケースがある
ふたつめの注意点は、削除依頼を送信しても発言やスレッドを削除してもらえないケースがあることです。
たとえば、以下のようなケースでは、削除依頼しても対応されないことがあるようです。- 1回の削除依頼で複数の発言やスレッドの削除を依頼した
- 削除依頼の具体的な理由を書いていない
- 72時間以内に何度も削除依頼を送信した
- 削除依頼フォーム以外からメールを送信した
複数の発言を削除してほしい場合は、最低でも72時間ほど時間をおいて次の削除依頼を送信する必要がありそうです。
また、削除依頼を送信する際に記入する「削除依頼理由」には、削除を依頼したい発言が利用規約の第3条【禁止事項】に該当している旨を記載すれば、その他のことを書き込む必要はありません。腹が立ち、運営側に文句を言いたくなる気持ちがあるかもしれませんが、ここは冷静に対応しましょう。
禁止事項には次のようなものがあります。- 他人の名誉、社会的信用、プライバシー、肖像権、パブリシティ権、著作権その他の知的財産権、その他の権利を侵害する行為
- 本名、住所、メールアドレス、電話番号の記載
ただし、削除を依頼した発言が規約に違反しているとみなされないケースもあります。具体的には、以下のようなケースです。
- 昨日○○(店名)にいた金髪の坊主
- ○○大学出身のIT社長
これらは、該当の書き込みだけでは個人を特定できないと考えられる書き込みであるため、削除対応は難しいでしょう。
以下のように、個人を特定できる書き込みのときは、内容によっては規約に違反しているとみなされ、削除対応が行われる可能性が高いでしょう。- ○○(会社名)の受付にいる○○(イニシャル)
- ○○大学○○科の○○(イニシャル)先生
- 昨日○○(テレビ番組名)に出ていた○○大学(大学の実名)出身のIT社長
3、投稿が削除されるまでにかかる時間
爆サイへ削除依頼を送信してから実際に投稿が削除されるまでの時間は、最大で72時間です。
爆サイの運用方針には、「削除依頼に関しては管理者を常時設置し、72時間以内の対応を行っております」と書いてあります。削除依頼を送信したら、まずは72時間がたつのを待ち、もし72時間たっても削除してもらえなければ次の手を考えましょう。複数削除してほしい投稿があるときも、前述のとおり、72時間ごとに1発言ごと削除を依頼するほうがよいようです。
4、投稿を削除してもらえない場合の対処法
投稿を削除してもらえないとき、どうしたらよいでしょうか。もっともしてはならないことは、同じスレッド内で反論をすることです。火に油を注いでしまい、面白がった第三者に、別のサイトへ拡散されてしまう危険もあります。
もし、削除依頼しても対応してもらえないときは、速やかに以下の手段を試みてください。
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(1)警察、弁護士に相談する
もし削除依頼を送信してから72時間がたっても該当の発言を削除してもらえなければ、警察へ被害届を提出するか、弁護士へ削除を依頼することになります。
警察へ被害届を出すときは、被害にあった状況を警察署で説明する必要があります。該当のページをプリントアウトするなど、明確な説明ができるように準備して、神奈川県内にお住まいでしたら、最寄りの警察署に相談することになります。ただし、身の安全についての警戒はしてくれますが、早急に削除対応してくれるかどうかは不明です。
すぐに書き込みを削除してもらいたいと考える場合は、弁護士へ依頼することをおすすめします。一般の利用者から削除依頼を送るのと、弁護士から削除依頼を送るのとでは運営側の受け取り方が違います。弁護士が法的な観点から見て必要な情報を集め、論理的な文章で削除依頼を送信すると、早急に対応してもらえる可能性が高くなる傾向があります。
もし弁護士から連絡しても投稿を削除してもらえなければ、裁判を含めた法的手段を用いる必要があるでしょう。 -
(2)投稿者へ損害賠償を請求できる可能性もある
弁護士へ削除依頼することで得られるもうひとつのメリットが、投稿者を特定して損害賠償請求を行えることです。
投稿者の書き込みが誹謗中傷にあたる場合、誹謗中傷を受けたことによる慰謝料を請求できます。ただ不快であるだけでなく、誹謗中傷で受けた被害は日常に及ぶこともあるでしょう。書き込みが名誉毀損(きそん)や侮辱、プライバシーの侵害にあたる誹謗中傷と認められれば、交渉によって相手に謝罪させ、慰謝料を受け取ることも可能なのです。
しかし、個人で誹謗中傷を行う相手と対応することは、身の危険を感じることもあるでしょう。そこで弁護士が代理人として着実な交渉を行います。被害者が企業や事業主であるときは、さらに高額の慰謝料を請求できる可能性が生じるでしょう。
5、まとめ
もし、爆サイにあなたや家族に対する誹謗中傷の投稿をされてしまったときは、まずは爆サイの利用規約をよく読み、自分自身で理解することが大切です。利用規約に違反することが確信できたら、削除依頼を送信してみましょう。
神奈川・横浜にお住まいの方で、「書き込まれた内容が利用規約に違反すると確信をもてない」、もしくは「誹謗中傷にあたるのかがわからない」というときは、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスまでご相談ください。まずは弁護士が状況をお聞きして、削除を依頼できるかどうか、損害賠償を請求できるかどうかをアドバイスさせていただきます。
迷っている間にも、あなたにとって不利益な情報が拡散される可能性もあります。できるだけ早いタイミングで、対応を行う必要があるでしょう。インターネット上の誹謗中傷問題に数多く対応した弁護士が尽力します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています