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相続人が外国籍の場合どうすればいい? 適用される法律や対策を解説

2021年07月29日
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相続人が外国籍の場合どうすればいい? 適用される法律や対策を解説

被相続人や相続人に外国籍の方が含まれる場合、通常とは異なる手続きや書類が必要になる場合があります。特に、被相続人が外国籍の場合は、日本の民法ではなくその国の法律が適用される可能性があるので注意が必要です。

横浜市の住民基本台帳人口によると、総人口376万3120人に対し、居住する外国籍の方の総数は10万828人(令和3年6月末)でした。100人あたり4人弱が外国籍の方であり、横浜市内においても、外国籍の方を含む相続の手続きが一定数行われていると考えられます。

そこで今回は、外国籍の方を含む相続について、相続問題の経験が豊富な弁護士が解説していきます。

1、被相続人が日本人で、相続人が外国人の場合

被相続人が日本国籍で、相続人が外国籍の場合は、原則として日本の法律(民法)が適用されます

その理由は、「法の適用に関する通則法」という法律において、「相続は被相続人の本国法による」と規定されているからです(法の適用に関する通則法36条)。

そのため、被相続人が日本国籍で、相続人に外国籍の方が含まれるケースでは、原則として日本の民法が適用されます。具体的には、日本国籍の親が亡くなって、日本国籍の長男と、帰化して米国籍となった次男が相続人の場合は、被相続人が日本国籍なので、日本の民法が適用されます。

ただし、日本の民法が適用されるとしても、相続人が日本国籍だけの場合とは異なる書類が必要になる可能性がある点に注意しましょう。

2、被相続人が外国人で、相続人が日本人の場合

被相続人が外国籍で相続人が日本国籍の場合に、どの国の法規が適用されるのかについて解説します。

  1. (1)被相続人が外国籍の場合の準拠法

    ある法律関係について適用される国の法規を、準拠法といいます。たとえば、相続関係について民法などの日本の法規が適用される場合は、準拠法は日本法です。

    法の適用に関する通則法では、「相続は被相続人の本国法による」というルールなので、被相続人が外国籍の場合は、被相続人の本国法が準拠法になるということです。

  2. (2)どの国の法規が準拠法になるかは重要

    どの国の法規が適用されるか、どの準拠法を用いた判断になるかは重要です。

    たとえば、被相続人が亡くなって財産を調査したところ、借金などの負債ばかりだった場合、日本の民法には最初から相続人ではなかったものとして扱われる、相続放棄の制度があります。

    そのため、準拠法が日本法の場合は、相続人が相続放棄をすれば負債を相続しなくてすみます。

    ところが、ある国では相続放棄が認められておらず、その国の法規が準拠法になった場合は、原則として相続放棄ができなくなってしまいます。このように、準拠法によって相続人に多大な影響を及ぼす可能性があるため、どの国の法規が準拠法になるかは重要です。

  3. (3)準拠法が外国法でも日本法が適用される場合がある

    注意点として、外国の法規が準拠法になったとしても、必ずその国の法規がルールとして適用されるとは限りません。

    準拠法となる国の規定によっては、その国の法律ではなく日本法が適用される場合があります。

    たとえば、その国の法規が「不動産については所在地の法律を適用する」と規定している場合、日本にある不動産についてはその国の法律ではなく、日本の民法が適用されます。

    このように、準拠法が日本以外の国の法規を指定している場合でも、結果として日本の法律が適用されるケースがあるため、日本国内で外国籍の方を含めた相続をする場合は、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です

3、相続人が外国籍のときに、用意するべき書面は?

相続人が日本国籍だけの場合、一般的な相続手続きにおける必要書類は、戸籍謄本、印鑑証明書、住民票などです。

一方、外国籍の相続人がいる場合、国によってはこれらの書類が存在しないことがあり、その場合は代わりとなる書類を用意する必要があります。

以下、それぞれの書類が存在しないケースについて解説していきます。

  1. (1)戸籍謄本がないケース

    戸籍謄本とは、その戸籍に入っている方全員の氏名、生年月日、続柄などが記載されている書類です。戸籍謄本は、不動産を相続する場合の登記の名義変更(相続登記)などで必要になります。

    外国籍の方の場合、その国に戸籍制度(家を単位として登録する制度)があればその国の戸籍謄本を使用できます。

    一方、その国が戸籍制度ではなく身分登録制度(個人を単位として登録する制度)を採用している場合は、戸籍謄本がありませんので、代わりの書類を用意する必要があります。一般に戸籍謄本の代わりに使用できる書類は、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書などです。ただし、どのような書類で相続関係を証明できるかは、国によって異なります。

    ただし、現在外国籍の方で日本の戸籍に入っていなくても、もともと日本国籍であった場合には、過去の戸籍をたどっていけば相続関係を確認できることがあります。

    また、外国籍の方の配偶者が日本国籍の場合には、配偶者の戸籍に婚姻の事実が記載されているので、相続関係を確認できる場合があります。

    このように、本人の戸籍謄本がない場合でも、ケースによっては日本の戸籍謄本で相続関係を確認できる場合があるので、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)印鑑証明書がないケース

    印鑑証明書とは、登録された印鑑が本人のもの(実印)であることを証明するための書類です。印鑑証明書には、登録された印鑑の印影とともに、本人の氏名、住所、生年月日などが記載されています。

    相続手続きの中で、印鑑証明書は主に遺産分割協議において必要になる書類です。

    複数の相続人において、誰がどの遺産を取得するかを決める話し合いを、遺産分割協議といいます。遺産分割協議で決めた内容は、遺産分割協議書という書類に記載されます。

    遺産分割協議書には事実上相続人全員の実印による押印が必要で、実印による押印であることを証明するために、相続人全員の印鑑証明書も必要になります。

    印鑑を使用する国であれば、その国の印鑑証明書を使用できますが、国によっては印鑑ではなくサインを用いる場合が少なくありません。外国籍の方が日本で住民登録をしていない場合、印鑑証明書を発行することができないので、そのままでは遺産分割協議を完了させることができません。

    そこで、印鑑証明書の代わりに一般に用いられる書類が、「署名証明書」です。署名(サイン)が本人によってなされたことを証明する書類で、印鑑証明書の代わりに使用できます。

    署名証明書を発行してもらえる機関は一般に役場や大使館などですが、詳細は国によって異なりますので、その国の制度の知識がある弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)住民票がないケース

    住民票(の写し)はその方の居住関係を証明するための書類ですが、相続の手続きにおいては、一般に不動産の相続登記や預金口座の解約などで必要になります。

    外国籍の方であっても、日本に住民登録をしている場合は日本の役場で住民票を取得することができます。

    一方、もと日本国籍の方が帰化して外国籍になり、海外に居住している場合は、日本で住民票を取得することができないので、代わりの書類を取得する必要があります。
    外国籍だけでなく日本国籍も保有している場合は、現地の日本大使館や領事館で「在留証明」を発行してもらえます。

    日本国籍を喪失しており外国籍のみの場合は、在留証明の発行対象になりませんが、代わりの書類を発行してもらえる場合がありますので、詳しくは現地の大使館などで確認しておきましょう

4、外国籍が関わる相続は、弁護士に依頼するべき理由

外国籍の方が関わる相続の手続きは、弁護士に依頼する必要性が高い事案です。

外国籍の方の相続関係を証明するために、海外の書類を取り寄せる必要があるなど、通常の相続に比べて法律の扱いが複雑になるからです。

相続の対象となる財産が海外にある場合など、どの国の法律が準拠法になるかを判断するのが難しくなるケースも少なくないので、弁護士のサポートの必要性が高まります。

弁護士に依頼せずに自分で手続きをしようとした場合、海外からの書類の準備や取り寄せなどに時間がかかるだけでなく、誤った書類を取り寄せてしまう可能性もあります。

また、海外に財産がある場合は調査に時間がかかりがちですし、どの国の法律によって相続税などが課税されるかという問題も生じてきますので、相続税に詳しい税理士と連携できる弁護士に依頼するのがベストといえるでしょう

5、まとめ

被相続人が外国籍の場合は、相続の手続きの準拠法は被相続人の国の法規になります。

被相続人が日本国籍の場合は、相続の手続きは日本の民法が適用されますが、相続人に外国籍の方がいる場合は、その国の書類を取得する必要がある場合があります。

いずれにせよ、外国籍の方を含む相続の手続きは複雑になりがちで、相続税の問題もありますので、国際的な相続の経験があり、かつ税理士とも連携できる弁護士に依頼することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、相続問題の解決実績が豊富な弁護士と税理士が連携し、ひとつの窓口でトラブル解決にあたります。外国籍の方を含む相続の手続きでお悩みの際は、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスにお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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