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後見人になる資格とは? 手続きの流れや適任者について解説

2022年03月17日
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後見人になる資格とは? 手続きの流れや適任者について解説

最高裁判所事務総局家庭局が公表している「成年後見関係事件の概況」によると、令和2年1月から12月までの1年間における全国の家庭裁判所の成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始および任意後見監督人選任事件)の申立件数は3万7235件でした。また、成年後見関係事件の終局事件のうち、横浜家庭裁判所管内での件数は、2793件であり、東京、大阪に次いで3番目に多い数字となっています。

高齢化が進む日本では、判断能力が不十分になった高齢者を支援するための制度である成年後見制度を利用するケースが増えてきています。家族が認知症になった場合には、本人に代わって契約手続きや財産管理をしなければなりませんが、そのような役割を担うのが後見人です。

では、成年後見人になるためには特別な資格が必要になるのでしょうか。また、どのような手続きで成年後見人を選任するのでしょうか。今回は、成年後見人の資格・適任者や成年後見人を選任する流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が解説します。

1、後見人とは?

後見人とは、判断能力が不十分な本人に代わって財産管理や身上監護などを行う人のことをいいます。このような後見人は、大きく分けて「法定後見人」と「任意後見人」の2種類の後見人があります。以下で、それぞれの内容について説明します。

  1. (1)法定後見人(後見・補佐・補助)

    法定後見人とは、家庭裁判所によって選任された成年後見人、保佐人、補助人のことをいいます。

    成年後見人、保佐人、補助人は、以下のように、本人の判断能力の程度に応じて選任されます。

    • 成年後見人……本人が精神上の障害により判断能力を欠く常況にある場合
    • 保佐人……本人が精神上の障害により判断能力が著しく不十分な場合
    • 補助人……本人が精神上の障害により判断能力が不十分な場合


    法定後見人は、認知症などによって判断能力が不十分となった本人に代わって法律行為や財産管理を行います。

  2. (2)任意後見人

    任意後見人とは、将来判断能力が低下した場合に備えて、判断能力のある本人があらかじめ選んだ後見人のことをいいます。

    任意後見人は、本人との間で契約をした時点ではなく、将来、本人の判断能力が低下して、家庭裁判所により任意後見監督人が選任された時点で後見人としての事務を行うことができます。

    法定後見制度と異なり、任意後見制度は、本人の判断能力が十分なうちに本人が選ぶことができますので、信頼できる第三者に将来の後見事務を委ねることができます

    また、法定後見人は、民法が規定する権限および家庭裁判所の審判で付与された権限が与えられますが、任意後見人は本人との間の任意後見契約で定めた範囲の権限が与えられます。

2、成年後見人になる資格

成年後見人になるためには、何か特別な資格が必要になるのでしょうか。

  1. (1)成年後見人には特別な資格は不要

    成年後見人は、本人に代わって財産管理や身上監護といった後見事務を行うことになりますので、特別な資格が必要だと思う方も少なくありません。

    しかし、法律上、成年後見人には、特別な資格は要求されていませんので、後述する成年後見人の欠格事由がない限り、基本的には誰でも成年後見人になることができます

    したがって、特別な資格や知識を有していない親族や第三者であっても成年後見人になることができます。

  2. (2)成年後見人の欠格事由

    成年後見人は、本人に代わって財産管理や身上監護を行い、本人を保護していかなければなりません。このような後見事務を適切に遂行することができない人については、成年後見人になることはできません。

    このような観点から民法では、以下の事由に該当する場合には、後見人になることができないとしています。

    ① 未成年者
    未成年者は、制限行為能力者であるため、親権者などの法定代理人の同意がなければ有効に法律行為をすることができません。

    また、未成年者は、社会経験が少なく、財産管理や身上監護といった後見事務を適切に行うことが難しいといえます。

    そのため、未成年者は、成年後見人になることができません。

    ② 後見人などを解任されたことがある者
    過去に家庭裁判所によって後見人などに選任されたことがあるものの、家庭裁判所から解任された経験がある人は、後見人になることができません。
    家庭裁判所が後見人を解任するのは、成年後見人の不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があった場合です。

    過去にこのような行為によって解任された人は、適切な後見事務の遂行が期待できないといえますので、成年後見人の欠格事由とされています。

    ③ 破産者
    破産者は、自己の財産に関する管理処分権を失っているため、当然、他人の財産管理を行うことも不適切だと考えられます。そのため、破産者は、成年後見人になることはできません。
    なお、破産者とは、破産手続開始決定を受けた人であり、かつ免責が確定していない人のことをいいます。そのため、過去に破産をしたことがあったとしても免責が確定して復権した人については、成年後見人になることができます。

    ④ 被後見人に対して訴訟を起こした者およびその配偶者・直系血族
    被後見人(本人)に対して訴訟を起こした人については、本人との間で深刻な対立関係が生じます。このような人は、本人に代わって財産を管理したり、本人の利益を図るための行動を期待することができませんので成年後見人の欠格事由とされています。また、訴訟を起こした人の配偶者および直系血族についても同様の理由から成年後見人の欠格事由とされています。

    ただし、訴訟が終了して利害関係の対立が解消されれば、過去に訴訟を起こしたことがあったとしても成年後見人になることができます。

    ⑤ 行方不明者
    適切に後見事務を行うためには、定期的に本人の状況を確認することができる人でなければなりません。そのため、行方不明者では、適切な後見事務を行うことが困難ですので、成年後見人になることはできません。

3、成年後見人の適任者とは?

成年後見人には特別な資格はいらないとしても、誰が成年後見人になるのがふさわしいのでしょうか。

  1. (1)親族が成年後見人にふさわしいケース

    親族であれば本人の生活状況や希望などをよく把握しているため、本人の意思を尊重した後見事務の遂行が期待できるといえます。また、親族が後見人となることによって、成年後見人に対する報酬負担を抑えることができるというメリットもあります。

    したがって、本人の身近に親族などの支援者などが存在する場合には、親族を後見人に選任するのがふさわしいといえるでしょう。

    なお、平成31年3月18日、厚生労働省の成年後見制度利用促進専門家会議において、「本人の利益保護の観点からは、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がいる場合は、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましい」との決定がなされました。

    そのため、今後は、親族などの身近な支援者がいるようなケースでは、親族が後見人に選任されることが増えてくるでしょう。

  2. (2)弁護士などの専門職が成年後見人にふさわしいケース

    本人の預貯金などの流動資産が一定以上あるケースでは、後見人による横領などの不正が生じる可能性があります。

    また、遺産分割をする目的や損害賠償請求をする目的で成年後見人の選任申立がなされた場合には、法的知識や経験がなければそれらの法律行為を適切に行うことが困難です。

    そのため、身近に親族がいる場合であっても上記のようなケースでは、専門職である弁護士や司法書士が後見人に選任されるのがふさわしいといえます。

4、成年後見人の手続きの流れ

成年後見人を選任する場合の手続きとしては、以下のような流れで進んでいきます。

  1. (1)家庭裁判所への申立て

    成年後見人を選任する必要が生じた場合には、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行います。申立てに必要な書類は、申立てをする裁判所によって異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

    • 後見開始申立書
    • 戸籍謄本、住民票、成年後見等の登記がされていないことの証明書
    • 財産目録
    • 収支予定書
    • 診断書
    • 申立事情説明書
    • 親族関係図
    • 後見人等候補者事情説明書
    • 本人情報シート
    など
  2. (2)面接

    成年後見開始の申立てが受理されると、申立人および後見人候補者から申立てに至った経緯や本人の生活状況などについて詳しい事情を聞くための受理面接が行われます。

    また、親族が後見人になるようなケースでは、初めて後見事務を経験することになりますので、後見制度とはどのようなものであるかを把握するために後見制度を解説したビデオを視聴します。

  3. (3)審判

    申立書および鑑定・面接結果などを踏まえて、家庭裁判所は、成年後見開始の審判をするとともに、成年後見人を選任します。

    成年後見人は、申立書に記載した候補者がそのまま選任されることもありますが、裁判所の判断で候補者以外を後見人に選任することもあります。

    なお、審判書を受け取ってから、2週間で後見開始の審判は確定します。

5、まとめ

成年後見人には、特別な資格は要求されていませんので、本人の身近な支援者である親族が後見人になることもできます。

もっとも、複雑な法律行為を予定しているようなケースでは、親族後見人では適切に後見事務を処理することが難しいこともありますので、そのような場合には弁護士などを後見人として検討する必要もあります

成年後見人の利用をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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