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親権者が死亡したら子どもの親権はどうなる? 未成年後見人と併せて解説

2020年08月25日
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親権者が死亡したら子どもの親権はどうなる? 未成年後見人と併せて解説

平成30年度の司法統計によれば、横浜地方裁判所での未成年後見人の選任の新受件数は114件で、親権者の指定または変更の新受件数は110件でした。

未成年の子どもがいる場合、離婚の際には夫婦のどちらかが親権者になります。しかし、交通事故などで親権者が亡くなってしまった場合、もう一方の生存している親が自動的に親権者になるのでしょうか。

一般には、親権者が亡くなった場合、生存親が当然に親権者になるのではなく、未成年後見人の選任や親権者の変更など、家庭裁判所での手続きが必要になります。

しかし、いざとなると、未成年後見人の選任はどうするのか、どうすれば自分が親権者になれるのかなど、手続きがわからずに戸惑う方も多いでしょう。そこで今回は、離婚して親権者が亡くなった場合の親権について、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が解説します。

1、親権者の死亡後、親権はどうなるか

両親が離婚して子どもの親権を得た親権者が亡くなった場合に、親権がどうなるのかを解説します。

  1. (1)親権は当然には移転しない

    離婚して子どもの親権を得ていた元配偶者が亡くなった場合、もう一方の生存親に親権が当然に移るわけではありません。

    親権者が死亡した場合、民法第838条の規定に基づいて未成年後見が開始されます。選任された未成年後見人が子どもの法定代理人となり、親権者と同一の権利義務を有します。

    親権を有していた元配偶者が亡くなって生存親が子どもの親権を得たい場合は、親権者変更の手続きを裁判所に申し立てる必要があります。

  2. (2)親権について遺言がある場合

    未成年の子どもの親権者は、自分が亡くなった場合に備えて親権について遺言をすることができます。具体的には、民法第839条に未成年後見人を遺言で指定できる旨が定められています。

    したがって、もしもの場合に備えて遺言書を作成し、その内容として子どもの未成年後見人を指定しておけば、自分が亡くなった際には未成年後見人に子どもの法定代理権が付与されることになります。

    また、未成年後見人は複数指定することもできます。たとえば、子どもの祖父と祖母を未成年後見人にするなどです。未成年後見人が複数選任された場合、原則として共同でその権限を行使します。

    ただし、遺言書で指定された者は未成年後見人になることを拒否することができるため、遺言で指定する前に十分に話し合って了解を取っておくことが大切です。

    また、未成年後見人だけでは不安な場合などは、未成年後見人を監督する未成年後見監督人を遺言で追加指定することもできます。

    注意点として、遺言で元配偶者以外を未成年後見人に指定したとしても、生存親による親権者変更の申し立てが妨げられるわけではありません。

    遺言による未成年後見人の指定と親権者変更の申し立ての両方が行われた結果、遺言で指定された未成年後見人に子どもの法定代理権が付与されず、生存親が親権者として認められる場合もあります。

2、未成年後見人とは

未成年の子どもの法定代理人である未成年後見人について解説します。

  1. (1)未成年後見人の概要

    未成年後見人とは、未成年者の親権を行う者がいなくなった場合などに、未成年者の法定代理人となる者です。

    法定代理人は、未成年者に代わって法律的な活動を行う権利を有しており、親権者と同じように、未成年者の監護養育、財産の管理、法律行為などをします。

    そのため、親権者が亡くなった場合には家庭裁判所へ申し立てを行い、未成年後見人を選任します。申立人は本人である未成年者、未成年者の親族、その他の利害関係人で、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申し立てます。

    未成年後見人になるために必要な資格などは特になく、兄弟姉妹、複数人、法人なども未成年後見人になることができます。

    ただし、民法第847条の規定により以下の方は未成年後見人になることができません。

    • 未成年者
    • 家庭裁判所に解任された法定代理人、保佐人、補助人
    • 復権していない破産者
    • 被後見人である未成年者に対して訴訟をしている者(した者)、その配偶者、その直系血族
    • 行方不明者


    未成年後見人から請求があった場合、家庭裁判所の決定によって未成年者の財産から報酬が支払われる場合があります。しかし、家庭裁判所の決定なしで勝手に報酬を受け取ったり、未成年者の財産から差し引いたりすることはできません。

    未成年後見人が未成年者の財産を不正に使用した場合などは未成年後見人の解任、民事上の賠償責任、業務上横領などの刑事罰が問われることがあります。

  2. (2)未成年後見人選任の手続き

    未成年後見人の申し立てをする場合、未成年後見人の候補者を立てることができます。

    たとえば、離婚した親権者と子どもが実家に帰り、その後、長年実家で同居していた祖父を候補者とするなどです。

    しかし、候補者はあくまで候補であり、家庭裁判所が必ず候補者を未成年後見人に選任するとは限りません。誰を未成年後見人にするかは未成年者の生活状況や財産状況、候補者の経歴や未成年者との関係、未成年者の意向などを考慮して裁判所が決定します。

    一般には、未成年者の親族が選ばれることが多いのですが、多額の財産や保険金が関係する場合や、誰を未成年後見人にするかで親族で揉めている場合などは、客観的な立場である弁護士などが未成年後見人に選任されることもあります。

3、親権者変更とは

親権者とは、未成年の子どもの監護や養育、財産の管理、代理人としての法律行為などをする権利・義務を有する人物を指します。

子どもがいる離婚の場合、夫婦のどちらが親権者になるかを決めますが、この親権者は後から変更することができます。ただし、一度決定した親権者を変更することは、子どもの生活環境や将来の人生に大きな影響を及ぼすことになると考えられるため、容易ではありません。

離婚後に親権者を変更するには、裁判所に申し立てて親権者変更の手続きをする必要があります(離婚後に生まれた子どもを認知した父親を親権者にするケースを除く)。

したがって、親権者が死亡した場合でも、生存親が自動的に新しい親権者になるわけではありません。親権者になることを希望する場合は、親権者変更の申し立てをする必要があります。

4、親権者変更の手続きの流れ

親権者変更の手続きについて、親権者変更調停と親権者変更の審判の2種類を解説します。なお、親権者が健在な場合はまず調停を行いますが、亡くなっている場合などは調停をせずに審判を行います。

  1. (1)親権者がいる場合はまず調停

    親権者が健在なケースで親権者を変更したい場合、まずは家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てるのが原則です。

    調停では申立人と相手方の双方が期日に呼び出され、調停委員を介して話し合いをします。調停では当事者双方の主張、今までの養育状況、当事者それぞれの経済能力、子どもの年齢や就学状況などが考慮されます。

    調停の結果、当事者の双方が親権者の変更に合意し、かつ裁判所も親権者の変更を認めた場合は、親権者の変更が認められます。

    なお、当事者の双方が合意しなければ調停は成立せず、合意があっても裁判所が相当と認めなければ親権者の変更は認められません。

    親権者変更が一般に認められやすい事情は以下の通りです。

    • 親権者が虐待や育児放棄をしている
    • 子どもが親権者変更を望んでいる(子どもの年齢や判断能力による)
    • 海外勤務など養育状況が大きく変化した


    相手が親権者変更に反対している場合、調停を成立させるのが難しくなるため、親権者の変更が認められやすい上記のような事実を立証できるかが重要になります。当事者だけで対応するのは困難なので、弁護士に依頼するのがおすすめです。

  2. (2)親権者変更の審判とは

    調停が不成立になった場合や、親権者が亡くなった場合などは、親権者変更の審判の申し立てをします。これにより、家庭裁判所が子どもの福祉のために必要だと認めた場合は、親権者を変更することができます。

    なお、調停と同様に、審判も必ず親権者の変更が認められるとは限りません。

    特に、子どもの親族などが未成年後見人の候補として申し立てを行っている場合は、どちらが子どもの福祉にかなうかという観点から判断されるため、親権者変更の申し立てが認められずに、未成年後見人の申し立てが認められる可能性もあります。

    親権者変更の審判ではそのケースにおけるさまざまな状況を調査した後、親権者変更を認めるかどうかを最終的に裁判官が判断します。特に、家庭裁判所の調査官による調査が非常に重視されるのが特徴です。

    したがって、親権者変更の際には離婚問題の経験豊富な弁護士に依頼することが重要になります。家庭裁判所の調査で高評価を得るための対応や、調査官や裁判官への効果的な主張により、適切な親権者決定が期待できます。

5、まとめ

離婚の際に子どもの親権を得た方が交通事故などで亡くなった場合でも、生存している親に自動的に親権が移るわけではありません。

生存している親が子どもの親権を得るには、家庭裁判所に親権変更の手続きを申し立てる必要があります。親権変更の手続きは、調停・審判と進めることが原則ですが、相手方が亡くなっている場合はすぐに審判を申し立てます。

審判ではケースごとにさまざまな事情が考慮され、最終的に裁判官の判断で親権変更が認められるかどうかが決まります。親権変更が認められるためには、離婚問題や親権変更に対して知見のある弁護士による適切な主張、立証、説得などが重要です。

万が一の際、親権者はどうなるのかお悩みの方は、ぜひベリーベスト法律事務所 横浜オフィスにご相談ください。離婚や親権問題について経験が豊富な弁護士が、全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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