年収1000万円の夫と離婚! 養育費の相場や不払いの対処法を横浜の弁護士が解説
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これまで専業主婦として子ども2人を育てる生活を送ってきたあなたが、いざ夫と離婚となってしまったらどうでしょうか。
実は、横浜市の離婚率を見てみると、毎月平均して400件から500件は離婚が発生しています。
横浜市の離婚率は全国的に見ても高く、それだけ多くのひとり親家庭が生まれており、その中でも養育費は必ず解決しておかなければならない問題です。
今回は、夫が年収1000万円の場合の養育費の決め方や不払い時の対処法などを解説していきます。
1、養育費の相場について
養育費は当事者間が納得すればいくらになってもかまいません。
しかし、養育費を決める際にはもめてしまいなかなか決まらないというケースも少なくないため、養育費の相場を参考にしたいという方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、実際の裁判などでも使用されている「養育費・婚姻費用算定表」をもとに見ていきましょう。
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(1)年収1000万円/子ども1人(14歳以下)の場合
14歳以下の子どもが1人いるケースではどうでしょうか。
まず養育費の算定においては、養育費の義務者(養育費を支払う側)の年収や、権利者(養育費を受け取る側)の年収などから判断されます。
ここでは権利者は専業主婦のため、収入はゼロで算定します。
夫が給与所得者であった場合には、養育費の相場は10万円から12万円です。
そして、夫が自営業者であった場合には、養育費の相場は14万円から16万円となります。
なぜ自営業者のほうが高いのかと言うと、給与所得者は源泉徴収票の「支払金額」を総収入とし諸経費を控除して基礎収入を算定します。
それに対して自営業者の場合には、確定申告書の「課税される所得金額」を総収入としますが、この段階ですでに社会保険料などが控除されているため、基礎収入算定時には特別経費のみが控除される仕組みとなっているからです。
見かけ上、自営業者のほうが基礎収入は多いため、このような算定方法となっています。 -
(2)年収1000万円/子ども1人(15歳以上)の場合
15歳以上の子どもが1人いるケースでは、給与所得者の場合は12万円から14万円の養育費となっています。
また、自営業者の場合では、18万円から20万円となっています。
15歳という年齢を考えると、高校入学や大学進学を見据えた上でも多くのお金がかかることが考慮されています。 -
(3)年収1000万円/子ども2人(ともに14歳以下)の場合
では、子どもが2人でともに14歳以下の場合を見ていきましょう。
給与所得者の場合では、14万円から16万円となっています。
また、自営業者の場合には、20万円から22万円となっており、子ども1人のケースと比較すると、単純に2倍になっている訳ではありません。 -
(4)年収1000万円/子ども2人(ともに15歳以上)の場合
次に子どもが2人とも15歳以上であった場合はどうでしょうか。
給与所得者の場合には、18万円から20万円となっております。
また、自営業者の場合には、26万円から28万円となっています。
高校入学を控える子ども、または高校生を育てるための養育費用ということもあり、これまでよりも高めに設定されていることが分かります。 -
(5)年収1000万円/子ども2人(14歳以下と15歳以上)の場合
最後に、子どもが14歳以下1人と15歳以上1人の場合を見ていきましょう。
給与所得者の場合では、16万円から18万円となっています。
また、自営業者の場合には、24万円から26万円となっております。
これらの養育費の相場は、あくまで年収1000万円を想定しており、実際の年収や家族構成により異なります。
2、養育費の決め方や協議内容について
離婚をする上で、事前に養育費の金額や支払いに関する取り決めをしておくことが重要となります。
ここでは、養育費決定までの流れを解説します。
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(1)夫婦で協議して決める
養育費について、まずは夫婦間で協議して決めることをおすすめします。
お互いに納得した上で決められた養育費の金額であれば、後に不払いなどの問題が生じることも少ないです。
注意点としては、あまりに高すぎる養育費を設定してしまうと、無理が生じて離婚後に養育費が支払えないという事態につながります。
家庭裁判所が公表している養育費算定表を参考にしながら、お互いに納得できる金額に設定しましょう。 -
(2)協議不成立の場合は調停へ
夫婦間の話し合いで養育費の金額が決まらない、または養育費の支払いを拒否している場合には、「調停」を申し立てます。
調停は相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所にて行われます。
第三者である調停委員が間に入ることにより、これまで決められなかった養育費が客観的な立場の意見をもとに決定されていきます。 -
(3)いつまで養育費を支払うのか
いつまで養育費を支払うのかについては、一般的には子どもが成人するまでといったケースが多い傾向にありますが、養育費は未成熟子(成人している・していないに関わらず、経済的に自立していない子ども)が成長していく上で必要な費用とされています。
そのため20歳を超えていたとしても、大学生で就労できない状態であれば養育費を支払ってもらうことが可能です。
20歳未満の場合でも、すでに仕事をしていて経済的に自立している場合には、養育費を支払わないというケースもあります。 -
(4)支払い方法や回数について
算定表をもとに毎月決まった金額を支払うのが一般的ではありますが、中には20歳に到達するまでにかかる養育費を一括で支払うというケースもあります。
夫の年収が1000万円を超えている場合には、一括での養育費の受け取りを視野に入れても良いでしょう。
3、離婚理由が不倫! 養育費は変わるのか?
もし離婚をするキッカケが夫の「不倫」であった場合には、養育費に影響するのかを見ていきましょう。
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(1)夫が不倫した場合
原則として、養育費は子どものための費用ですので、不倫とは切り離して考えるべきだとされています。
養育費は養育費として算定表をもとに算出されますが、それとは別に「不倫をした夫」と「夫の不倫相手」へ慰謝料を請求することが可能です。
注意点としては、夫の不倫相手も既婚者(いわゆるダブル不倫)であった場合、その配偶者からこちら側へ慰謝料を請求される場合もあります。
このような難しいケースでは、なるべく弁護士に依頼することをおすすめします。 -
(2)妻が不倫した場合
妻が不倫をしたことがキッカケで離婚した場合でも、原則として子どものためにある養育費は減額されるということはありません。
しかし、不倫相手が既婚者である場合には、その配偶者から慰謝料請求される可能性があります。
4、養育費の不払いについての対処法
離婚後、養育費が不払いになってしまった場合の対処法をご紹介します。
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(1)公正証書の必要性
まずは離婚前にできる対策として、「公正証書」を作成しておくことをおすすめします。
裁判となった際には、公正証書は証拠価値が高いものと判断されるため、養育費の請求が有利に進みます。
また、後記のとおり、強制執行を行うことも可能になります。 -
(2)内容証明郵便を送る
内容証明とは、郵便の内容を郵便局が公的に証明してくれるサービスのことです。
証拠能力があるため、夫へ養育費不払いのプレッシャーを与えることが可能です。
自分で送ることも可能ですが、弁護士に依頼することにより、法律事務所からの手紙であることを強調できるため、より効果的に不払いの解消が望めます。 -
(3)強制執行
前述した「公正証書」を作成しておくことにより、養育費の不払いが生じた際には、「強制執行」を行うことが可能となります。
強制執行を行う上で「相手方の財産の情報」「勤務先」「口座情報」などを把握しておく必要があります。
離婚前にしっかりと準備しておくことで、離婚後の養育費問題を円滑に対処することが可能です。
5、まとめ
今回は、年収が1000万円ある夫と離婚する場合に、子ども2人を育てるために養育費はおおよそいくらもらえるのかを解説しました。
養育費については、離婚前にしっかりと取り決めを行い、後々のトラブルを防ぐためにも公正証書を作成することが重要となります。
養育費の問題については、ベリーベスト法律事務所・横浜オフィスの弁護士までお気軽にご相談ください。
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