家庭内別居で修復不可能! 離婚までに考えておくべきこととは
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新型コロナウイルスの影響により、例年より家で過ごす時間が増えたご夫婦は多いことでしょう。一緒に過ごす時間が増えることは、プラスの影響をもたらす場合だけでなく、夫婦間の問題をより浮き彫りにし、マイナスの影響をもたらす場合もあります。「コロナ離婚」という新たな言葉が誕生したことからも、その傾向は伺うことができます。
また、家庭内別居状態のご夫婦などは、より家で過ごす時間が増えたことにより、修復不可能だと改めて感じることもあることでしょう。ただし、自分にとって納得できる離婚をするためには、財産分与や親権などさまざまなことを慎重に検討したうえで判断することが重要なポイントになります。
そこで本コラムでは、家庭内別居中で離婚を検討している夫婦が考えておくべきことについて、ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスの弁護士が解説します。
1、家庭内別居とは
家庭内別居とは、一般に、夫婦仲が悪くお互いに無関心であったりして、同じ家に住みながらも接触を避け別居しているかのような状況をいいます。
家庭内別居のきっかけは、夫婦の数だけさまざまな原因があります。たとえば、ささいな口げんかがきっかけとなってお互いに引くに引けない状況になっていたり、夫婦それぞれが相手から干渉されず自分一人の時間をもちたいと考えていたりすることもあるでしょう。また、相手の不倫やモラハラ、暴力などがきっかけになって家庭内別居がはじまるケースもあります。
2、家庭内別居で修復不可能なケースとは?
家庭内別居をしていても、相手への愛情や修復への気持ちが少しでも残っているときには、夫婦関係を修復できる可能性はあると考えられます。しかし次のようなケースでは、修復が困難であるといえるでしょう。
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(1)相手から日常的なDVやモラハラがある
相手から日常的にDVやモラハラを受けているときには、まずは外部に相談することが大切です。DVやモラハラは加害者も被害者も自覚が難しいケースが少なくありません。また、一時的に相手の態度が優しくなったりするため「まだ修復できるのでは」と期待してしまい、被害が長期化するケースもあります。しかし相手が繰り返しDVをするのであれば、客観的な判断のためにも、外部の専門機関に相談することをおすすめします。
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(2)相手が浮気や借金を繰り返している
相手が浮気や借金を繰り返しているようなケースでは、一般的に修復不困難であるといえるでしょう。相手の言動を許すことができれば、夫婦で修復をはかれるかもしれません。しかし、許すことができずに離婚を争うとき、不貞は離婚理由として裁判所に認められる可能性が高くなります。
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(3)相手の存在が苦痛に感じる
家庭内別居をしていても、子どもの学校行事などがあれば、仮面夫婦であっても立場上夫婦としてふるまわなければならないことでしょう。そのような状況を苦痛に感じ、通院の必要があるほどに心身に不調をきたすようであれば、客観的に修復不可能といえるでしょう。
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(4)離婚の意志が固い
お互いの意思がなければ、夫婦生活を続けることは難しいものです。夫婦の一方が「離婚したくない」と思っていても、他方の離婚の意志が固いのであれば、修復は難しいといえます。
ただし夫婦の問題は修復不可能と思われるケースでも、話し合いをする機会をもつことによって、事態がよくなる可能性もあります。
3、話し合いで解決しないときの相談先や対処法とは
家庭内別居の現状を変えたいと思うときに、夫婦で話し合って結論がでればそれに越したことはありません。しかし夫婦の話し合いで解決できないのであれば、ケースに応じて次のような専門家などに相談するとよいでしょう。
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(1)離婚カウンセラー
離婚カウンセラーに相談してみることも有益でしょう。さまざまなケースをみてきた離婚カウンセラーに、話を聞いてもらい、客観的なアドバイスをもらえることで、ご自身の気持ちや状況を明確に整理できる可能性があります。
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(2)行政の相談先
市区町村や都道府県には、さまざまな相談窓口が設けられています。地域によってどのような相談窓口があるかは、ホームページなどで確認することができます。なお、横浜市では「横浜市DV相談支援センター」を設置して、配偶者などからの暴力に悩む被害者の方のために電話相談を受け付けています。少しでも「DVかもしれない」と感じたら、相談してみましょう。
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(3)家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)
家庭裁判所の調停というと、離婚するための調停をイメージされる方も少なくないでしょう。しかし円満な夫婦関係を回復するための話し合いの場としても、家庭裁判所の調停手続きを利用することができます。調停では、調停委員が、夫婦双方から事情を聞いて、夫婦関係がうまくいかなくなった原因や改善策など探り、解決案を提示したり必要なアドバイスをしたりという形で進められます。
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(4)家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)
夫婦の一方が離婚の意志を固めている状況で、話し合いが進まなかったり話し合い自体を拒絶されていたりするときには、離婚調停手続きで解決をはかることができます。離婚調停手続きでは、離婚自体だけでなく、親権者や面会交流、慰謝料、財産分与などの離婚条件についても話し合いができます。
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(5)弁護士
離婚の意志が固いときには、弁護士に相談することも検討してみましょう。弁護士は、ご相談者の代理人として話し合いをすることができます。元配偶者と顔を合わせたくない、なるべく有利な条件で交渉したい、など希望に沿った弁護活動が可能です。
もし、話し合いでは離婚の合意が得られず裁判になったときは、離婚が成立する可能性はどれぐらいなのかという見込みも確認することができます。また、不貞行為などによる慰謝料請求を検討しているときには、適切な慰謝料の金額を算出し、相手と交渉することもできます。離婚の成立だけでなく、離婚後の生活を見越した条件を獲得するためにも、弁護士のアドバイスは有益となるでしょう。
4、離婚までに考えておくべきこととは?
家庭内別居を解消する方法として「離婚」を決断したときでも、相手に伝える前に考えておくべきことがあります。
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(1)離婚後はどうやって経済的な自立をはかるか
離婚までには、離婚後にはどれぐらい生活費がかかり、どのような方法で収入を得るのかを考えておく必要があります。現状で離婚後の生活費をまかなうだけの十分な収入がないのであれば、資格を取得したり就職先を見つけておいたりといった経済的な自立のための準備をしておくことが大切です。
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(2)裁判でも認められる離婚理由はあるか
相手が離婚を拒否しているときには、最終的には裁判の判決で解決をはかることになります。裁判では、「民法で定める離婚理由に該当するかどうか」で離婚の成否を判断するので、裁判でも認められる離婚理由はあるかを考えてまとめておくとよいでしょう。
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(3)離婚時にいくら請求できるか
離婚の際には、夫婦で築いてきた財産を清算する必要があります。ご自身で家計を管理しているときには資産が分かるので、いくら請求できるかを判断できることでしょう。しかしそうでないときには、離婚を切り出せば財産の一部を隠されるリスクもあります。したがって離婚を決断したときには、夫婦の財産について正確に把握しておき、離婚時にいくら請求できるかを考えておく必要があるといえます。
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(4)子どもの親権は獲得できるか
夫婦に未成年の子どもがいるときには、離婚時に子どもの親権を決めなければなりません。親権が獲得できなければ、基本的に子どもとともに生活できなくなります。離婚を相手に伝える前には、子どもの親権を獲得できる見込みについても考えておくことが大切です。
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(5)争いになったときに有利な証拠は収集できているか
離婚をめぐり相手と争いになったときには、証拠の存在が重要です。たとえば相手に不貞行為があったから離婚したいと主張しても、証拠がなければ相手も自身の不利になる事実を認めようとしない可能性があります。離婚の意思を相手に伝えれば、証拠を隠されたり処分されたりするリスクがあるので、相手に伝える前に有利な証拠をできるだけ収集しておくことが大切でしょう。
5、まとめ
本コラムでは、「修復不可能な家庭内別居中の夫婦が考えておくべきこと」について解説しました。家庭内別居により離婚を決断したときには、まず弁護士に相談しておくことで有利な条件に向けて準備を進めることができます。ベリーベスト法律事務所 横浜オフィスでは、離婚問題の解決実績が豊富な弁護士が、後悔のない結果になるよう全力でサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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